2025/04/29

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経済

台湾初、大同とITRIが国産EVバス向け動力システムを開発

2021/01/29
台湾家電大手の大同公司(TATUNG)と財団法人工業技術研究院(工研院、ITRI)はこのほど、台湾で初めてとなる国産の電気バス(EVバス)向け動力システムの開発に成功した。写真は左から大同公司の戴豊樹執行副総経理、ITRI機械與機電系統研究所の胡竹生所長、大同公司の鍾依文総経理、大同公司中央研究所の黄啓芳所長。展示されているのはモーターとドライブ。(中央社)

台湾家電大手の大同公司(TATUNG)と財団法人工業技術研究院(工研院、ITRI)はこのほど、台湾で初めてとなる国産の電気バス(EVバス)向け動力システムの開発に成功した。財団法人車両研究測試中心(Automotive Research &Testing Center, ARTC)の認証試験にも通過しているが、商用化のタイミングは国内の車両メーカーの需要次第で、現在のところは未定だという。大同は目標とするEVセダン市場参入にさらに一歩近づいた。

 

大同のモーター事業部は数十年の歴史を持つ。大同はEVの商機に狙いを定め、2018年からITRIと業務提携し、EV向けモータードライブシステムの開発に力を入れてきた。双方が開発した台湾初となる出力250kWの国産EVバス向け動力システムは、すでにARTCの性能試験にも通過している。

 

大同は28日に記者会見を開き、研究の成果を発表した。記者会見には同社の鍾依文総経理、戴豊樹執行副総経理、ITRI機械與機電系統研究所(Mechanical and Mechatronics Systems Research Laboratories)の胡竹生所長がそろって出席した。

 

大同によると、新たに開発した出力250kWのEVバス向け動力システムは、台湾で初めて自主開発された国産品。EV向け動力システムとしては最も出力が高い。モーターとドライブを統合した設計で、モーターの最高出力は96%以上、ドライブは97%以上に達し、全体的な出力を見た場合、欧米の大手メーカーに肩を並べるレベルだという。

 

大同によると、モーターはEVの心臓、ドライブは大脳に当たる部分。動力システムは両者を統合することで、車両の性能を高めてエネルギーを節約することができる。大同が開発した動力システムは、トルク(ねじりの強さ)が高く、坂道に強い特性を持ち、全長12メートルのEVバスや17トントラックなどに適用することができる。最大積載量に達しているバスでも登坂能力20%、時速90㎞以上の極めて高い性能を発揮する。これは国内の同業他社の製品を上回る水準だ。

 

但し、この動力システムの商用タイミングについては、価格やスペック等、諸般の事情を考慮しなければならないため、顧客の需要次第で、現在のところは未定だという。政府がEVバスに対して国産動力システムの採用を求めるようなことがあれば、国産動力システムの生産能力を有する大同は、他社より優位性を持つことになる。

 

戴豊樹執行副総経理は、「ブランド力を持ち、関連の分野で長年研究・開発に取り組んできた大同にとってEV市場への参入は当然のこと」と話す。今回開発に成功したEVバス向け電動システムだけでなく、今後はEVセダン市場への参入を目指している。大同は現在、さまざまな戦略を用意し、パートナー企業を探している。海外進出が将来の目標だ。

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