両岸(台湾と中国)の交流が頻繁になるに伴い、台湾が育成した品種や技術が中国に流出することが懸念されている。行政院農業委員会(日本の農林水産省に相当)は9日に発表したニュースリリースで、「台湾で育成した品種を中国で栽培し、台湾に逆輸入することを禁止する」、「ターゲットとなる海外市場を保護する」、「動植物の種苗輸出規制の項目を増やす」などの措置を講じることで、台湾の品種の保護を強化し、農業の競争力を維持する立場を示した。
農業委員会の説明によると、中国大陸で台湾から持ち込んだ品種が栽培されているのはパイナップル、マンゴー、蓮霧(レンブ)、インドナツメ、シャカトウなど。そのうち、パイナップルとマンゴーはすでに大量生産されているが、インドナツメとシャカトウについては少量生産に留まり、管理技術もまだ成熟していない。これらはいずれも、育成者権が存在していなかった時代に中国に持ち込まれた品種だ。
農業委員会は、研究成果に対する管理を実践するため、人員、材料、技術、情報など各方面について関連の管理措置を講じている。しかし、種子や種苗は体積が小さいことから、市場で流通している品種の海外への持ち出しを規制するのは難しい。このため、国内育成品種の海外流出は世界各国で問題となっている。農業委員会は、品種の保護と運用を強化し、農業の競争力を守るため、現行の関連措置を見直した。その結果、知的財産権の保護や貿易規制を行うことで、ターゲットとする海外市場での競争力を維持し、且つ国内の供給の安定を図ることができると考えた。このため以下を重点的に実施する。
一、台湾の育成者権を侵害する農産品の逆輸入を禁止する:中国大陸及びその他の国で栽培された権利侵害の農産品について、農業委員会が管理する品種である場合、法に基づきその輸入禁止を主張する。
二、台湾がターゲットとする海外市場への権利侵害農産品の侵入を阻止する:ターゲットとする海外市場で品種登録を積極的に行い、権利侵害農産品の取引を拒否する権利があることを随時主張する。
三、農業、畜産、水産方面の種苗輸出規制項目を増やす:農業委員会は植物種苗や畜産の「遺伝資源」の輸出管理規制の項目を見直し、産業の発展ニーズに応じて必要な規制項目を追加する。