2025/06/07

Taiwan Today

経済

国立中正大学が民間企業に技術移転、台湾にギアのスマート生産拠点を

2021/05/21
数年前にギアのスマート自動生産モデルラインを開発した国立中正大学(嘉義県)が、民雄工業区(=工業団地)に工場を持つ前瞻伝動科技股份有限公司に技術移転することになった。民雄工業区は将来、ハイエンドギアの重要な生産拠点となることが期待されている。(国立中正大学提供、自由時報)
国立中正大学(嘉義県)は数年前、ギアのスマート自動生産モデルラインの開発に成功した。このほど、この技術を嘉義県内の民雄工業区(=工業団地)に移転することが決まった。産学連携により、長年欧米の大手企業によって寡占されていたハイエンドギアの加工設備市場に新たな風を吹き込む。
 
台湾の業者は長年、ギアの調達を海外からの輸入に頼っており、その結果、ギアの調達コストが非常に高くなっていた。科技部(日本の文部科学省に類似)が実施する「価創計画(The TRUST-U Program)」の助成を受け、国立中正大学の馮展華校長(=学長)は同大機械工程学系精密伝動実験室を指導し、同じ大学の前瞻製造系統頂尖研究中心(The Advanced Institute of Manufacturing with High-tech Innovations; AIM-HI)の工作機械チームと連携。ギア生産をスマート化する専用ソフトウエア技術などを取り入れ、次世代のギア加工専用設備を開発した。
 
中正大学によると、この設備は精密スマートギア加工設備市場に切り込むことができるもので、実勢価格にして10億台湾元(約38.9億日本円)の価値がある。馮展華校長と嘉義県民雄郷に本社を置く前瞻伝動科技股份有限公司(Advanced Gear Machine Technology Co., Ltd.)の簡鴻文董事長(=会長)は20日、中正大学で技術移転に関する契約を交わした。これにより、前瞻伝動科技股份有限公司は大学発のスタートアップとなった。同社はすでに、民雄工業区に1,000坪相当の工場を設立している。今回の技術移転によって、嘉義エリアが台湾におけるハイエンドギアの重要な生産拠点となることが期待されている。
 
なお、今回中正大学が技術移転したこの技術は、自動車や産業ロボット等の分野にも広く応用が可能だ。馮展華校長は今回の協力により、台湾の業者がギアの調達を欧米の大手企業からの輸入に頼らなくてもよくなり、台湾独自でより高精密且つ質の高いギアを生産できるようになると期待している。
 

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