台湾南部・高雄市経済発展局が10日、台湾と日本からスタートアップ支援施設の「台北 t-HUB内科創新育成基地」と「Fukuoka Growth Next」を招き、「cozy afternoon」オンライン交流イベントを開催した。台湾からは35を超えるスタートアップが参加した。「台北 t-HUB内科創新育成基地」の「内科」は、台湾北部・台北市にある「内湖科学園区」(内湖テクノロジーパーク)のこと。イベントでは三者がそれぞれスタートアップの支援メカニズムを紹介。日本・福岡市の「Fukuoka Growth Next」も同市で起業した場合に受けられる補助及びワン・ストップ・サービスを説明し、日本進出を目指す台湾のスタートアップの疑問に答えた。
高雄市では2013年から「高雄市数位内容創意中心(DAKUO)」(デジタルアート高雄ユナイテッドオフィス)、スマートシティに向けたスマートテクノロジーを育成する「高雄智慧科技創新園区=智高點(KO-IN)」といったスタートアップ支援施設を次々に立ち上げ、優秀な業者を同市に呼び込んで育成し、発展させる取り組みを積極的に進めている。これまでに94を超えるスタートアップがこれら支援施設に入居するなど、1,100人あまりの雇用を創出した。新たに開発された製品も320点を超える。入居している企業には日本(4社)、米国(2社)、カナダ(1社)など外国の企業も含まれ、さらに3つのスタートアップは株式の公開も果たしている。
高雄市経済発展局の廖泰翔局長によれば、同局では中華民国対外貿易発展協会(TAITRA、日本での名称は「台湾貿易センター」)と積極的に協力して業者が海外にビジネスチャンスを広げるのをサポートしており、例えば今年ベトナムで開かれた見本市への「高雄パビリオン」出展では1,450万米ドルのビジネスにつなげることが出来た。
今回のオンライン交流イベントについて廖局長は、日本は台湾のスタートアップの多くが最初に目指す海外市場で、とりわけ福岡市は日本政府が日本の経済活性化のために指定した「国家戦略特区」だと指摘、このため今回は「Fukuoka Growth Next」と交流活動を行うことで台湾のスタートアップが北東アジアの海外市場に進出するのを後押ししたと説明した。
福岡市は2016年に「Fukuoka Growth Next」を設立、海外のスタートアップが入居する場合はオフィスなどの賃料、ならびに職員への給与などに対する補助、5年間の税金20%控除の優遇措置が受けられるほか、司法書士・税務代理人・弁護士など専門家への無料相談、スタートアップビザ(外国人の創業を促進するため福岡市で特例的に認められた制度)などのワン・ストップ・サービスを提供している。