行政院農業委員会農業試験所が開発した台湾産パイナップルの品種「台農23号(通称:マンゴーパイナップル)」が、日本の農林水産省によって品種登録が認められ、官報で公示された。これは日本において「台農23号」の育成者権が臨時的に保護されることを意味する。これから日本で実体審査が行われ、登録要件を満たしていると判断されれば、日本で正式に育成者権を取得することになる。
台湾におけるパイナップルの作付面積は約1.1万ヘクタールに達する。昨年3月、中国が一方的に台湾産パイナップルの輸入停止を決めたことを受け、生産者への衝撃を最低限に抑えるため、農業委員会が中心となって積極的に国内外での市場開拓や加工品の開発に取り組んできた。
農業試験所の嘉義分所は、台湾における亜熱帯果物の主要な開発拠点で、1934年に初めてパイナップルの新品種「台農1号」を開発して以来、これまでに18の新品種を生み出してきた。とりわけシェア8割近くを占める「台農17号(通称:金鑽パイナップル)」は輸出の主力品種でもある。「台農23号」は嘉義分所が2019年に開発したもの。
農業試験所によると、「台農23号」は秋と春の2シーズンが栽培に適している。果実はやや背が低くて寸胴型。果肉は黄色く、マンゴーのような香りがする。柔らかい肉質と、繊維が少なく、糖度と酸味のいずれも高いのが特徴だ。貯蔵に向いているため、長距離海運(台湾→カナダ)のテストでも、「台農17号」ほど褐色化が進まないことが判明している。「台農17号」の収穫期が終わった夏や秋にも供給できるため、輸出に強い品種だ。
台湾産パイナップルが徐々に海外の消費者にも受け入れられ、とりわけ日本は台湾が積極的に開拓を目指す輸出市場であることから、農業試験所は2021年10月18日、日本の農林水産省に対して「台農23号」の品種登録を出願し、受理された。また、今月6日に発行された官報で、品種登録が公示された。
農業試験所は、これからも研究・開発を強化し、パイナップル産業が直面する市場集中、品質の不安定、検疫や残留農薬基準、それに輸出価格競争や、新たな市場開拓の問題などを解決していきたいとしている。