中国大陸が6月13日から、台湾産の高級魚「ハタ」の輸入を一時的に停止したことを受け、行政院農業委員会(農委会、日本の農林水産省に相当)は、国内外での販売および加工などを積極的に働きかけ、対策を講じている。台湾での生産・販売を安定させ、漁業従事者の収益を保護する考えだ。統計によると、6月13日から7月24日までのハタの輸出量は、123.5トンとなり、中国大陸への輸出を除いた前年同期の2.66倍に成長した。農委会の陳吉仲主任委員(大臣)は26日、台湾南部・高雄市において、ハタの米国輸出に関する記者会見「美味しいハタの海外躍進」を開催した。高雄市と漁業団体を招き、5トンの高品質ハタの輸出に立ち合った。陳主任委員は、「台湾産ハタは味がよいことで知られている。農委会は輸出販売を奨励し、対象市場での商店、百貨店、レストランなどへの販路における海外プロモーションや販売促進イベントを通じて、米国、ニュージーランド、日本、香港など既に取引ある市場、韓国、EU諸国、中東など新興市場への輸出拡大が図れるよう望んでいる。さらに多くの海外消費者に歯ごたえと旨味抜群の台湾産ハタを味わってもらいたい」との意気込みを語った。
農委会によると、台湾産ハタの主な生産時期は毎年8月から翌年の3月までで、これまでは中国大陸が主な輸出先だった。中国大陸への輸出停止による穴埋めのため農委会は、「海外プロモーションの奨励」と「海外販売促進活動」の輸出措置を提案した。2022年下半期の輸出量300トンを目指し、台湾での生産・販売の安定と漁業従事者の収益保護を図る。「海外プロモーションの奨励」では、様々な輸出先や運搬方法に対して、1キログラム当たり40~90台湾元(約180~410日本円)の奨励金を支給する。また、ハタの切り身など加工品は、1キログラム当たりさらに10台湾元(約45日本円)が上乗せされ、業者が新たな商品や市場を開拓するのを支援している。一方の「海外販売促進活動」では、輸出業者が対象市場の各種販路と提携、宣伝・販売拡大活動をサポートし、輸出市場販路のさらなる多様化を指導する。そのほか、農委会は中華民国対外貿易発展協会(TAITRA、日本での名称は台湾貿易センター)と共同で、各国の消費者に台湾産ハタの調理方法を紹介し、海外市場における台湾産ハタの認知度と受容性を向上させる狙いだ。