経済部(日本の経済産業省に相当)が設置した「智慧機械推動弁公室」(以下、「スマートマシナリー推進オフィス」)が23日、社団法人台湾電子設備協会(TEEIA)と共同で、リアルとオンラインでのハイブリッド会議「第6回台日スマート製造フォーラム」を開催した。フォーラムでは台湾と日本のスマート製造及びスマートマシナリー産業の継続的な連携推進、ならびに最先端の半導体製造技術の世界的な連結、カーボンニュートラルに向かう趨勢下におけるサプライチェーン連携の新たなチャンスなどを議題に意見が交わされ、アジアにおけるハイレベルな製造センターならびに最先端の半導体製造センターという目標に向けて台日のスマートマシナリー産業の技術及びビジネスチャンスに関する交流の促進が図られた。
フォーラムでは経済部工業局の呂正華局長と日本の対台湾窓口機関・日本台湾交流協会の服部崇首席副代表が開幕のあいさつを行った。呂局長は、台湾と日本の産業チェーンにおける高度な相互補完の関係に言及、台湾には柔軟な生産管理と整ったサプライチェーンの能力があるほか、半導体の先進的な製造技術、パッケージングの分野で世界をリードしていると説明した。また日本の企業については、基礎研究やブランド力、マーケットの面で国際的な強みがあるほか、半導体製造設備と材料の分野でも世界をリードしていると指摘。その上で、最近、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)が日本に工場を設け、半導体の研究開発と生産を進めることになったことについて、日本の半導体製造設備と材料、光学素子、車載用半導体などの強みと、スマートマシナリーに関する台湾の総合的なソリューションという強みが手を結ぶことで、台湾のメーカーが日本の国際的な顧客の評価とサプライチェーンを通じて全世界のハイクラスな市場に加わることが可能になるとの見方を示した。
フォーラムには台日の業者60名あまりが参加し、双方のスマート製造の代表として三菱電機、NTTデータ、ディスコ、HIWIN MIKROSYSTEM(大銀微系統)、SmartMFG(友達数位)、TANGRAM(網聯科技)などが半導体産業及び高度なスマート製造での応用事例、ならびにスマート製造をカーボンニュートラルに応用するためのソリューションなどをテーマに、台日それぞれのスマート製造の発展トレンドと技術的な現況を共有した。フォーラムではまた、Creating Nano(馗鼎奈米科技)と日本の大塚電子とが半導体のスマートマシナリー技術に関する協力覚書を締結。同覚書によると、Creating Nanoがフォトマスクの先進的なプラズマ洗浄設備を開発してシステムと統合、大塚電子の精密な計測モジュールと組み合わせることなど、双方が戦略的なパートナーとして共同開発を行い、一緒に大手半導体メーカーの設備面でのサプライチェーンに加わっていくという。
また、全世界の製造業ではカーボンニュートラルが近年のスマート製造における主流の動きで、多品種少量生産や柔軟な生産形態への対応のほか、デジタル化の発展と並行してCO2削減と省エネを進めることが、中小企業が世界に進出できるかどうかのカギとなっている。このため今回のフォーラムではスマートグリッド、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、クラウドなどの新技術をいかにしてスマート製造に応用し、カーボンニュートラルに向かう世界の動きにリンクしていくかが話し合われ、世界のスマート製造、サプライチェーンでの協力、カーボンニュートラルといった動きの中で、台湾と日本による新たな産業連携のビジネスチャンスが生まれることへの期待が示された。
経済部は、台湾と日本は長年密接な関係を保ち、互いに信頼し合う経済貿易面でのパートナーであり、ここ数年における世界経済及び産業環境の激しい変化に向き合い、双方は最先端の半導体のスマート製造に関する研究と開発、ならびにサプライチェーンの面での連携がいっそう緊密になっていると指摘した。また、台湾には強大な半導体サプライチェーンがあり、最先端の半導体製造センターという目標に向かって大きく歩んでいく中で、これからもフォーラムというプラットフォームを通じて世界と交流し、台日双方のスマート製造に関するサプライチェーンを強化し、世界のスマート製造にとって理想的なパートナーになれるよう努力していくと話している。