行政院農業委員会(日本の農林水産省に相当)は、台湾の貿易会社である栗煬国際公司、高雄市の興達港区漁会(=漁協)、それに日本のくら寿司株式会社の三者が11月30日、東京で台湾産ハタ(中国語表記は石斑魚)の調達に関する契約を交わしたことを明らかにした。調印式には日本を訪問中の農業委員会の陳添寿副主任委員(副大臣に相当)が立ち会った。くら寿司株式会社は日本の回転寿司チェーン大手。来年から冷凍したハタの切り身を台湾から輸入し、日本全国で展開する「無添くら寿司」で提供する。
台湾で養殖されるハタは高級魚として知られる。主に中国向けに輸出していたが、今年6月に中国が一方的に輸入を停止。これを受けて農業委員会は直ちにハタの輸出拡大に対する奨励制度を立ち上げ、台湾の業者がアメリカ、マレーシア、ニュージーランドなど新たな市場を開拓することを支援してきた。今回の日本の回転寿司チェーンとの提携は、これに続く新商機開拓となる。
行政院農業委員会によると、まずは5万キロを輸出し、その後消費者の反応を見ながら供給量を増やすかどうかを決める。東京で行われた記者会見では、ハタのみそ焼き、握り寿司、酒蒸しなど6種類の料理が並んだ。
台湾の水産品は豊富で、さまざまな商品に加工することができる。台湾産の魚介類としてはすでにウナギ、マグロ、スズキ、台湾鯛(ティラピア)、サクラエビなどが日本に輸出され、消費者から高い評価を得ている。農業委員会は、ハタの切り身による日本の回転寿司チェーン市場参入を皮切りとして、これからも日本でマーケティングや宣伝活動を続け、台湾の漁業団体や輸出業者が高水準とオーダーメイドの加工により、日本の流通業者のニーズに対応し、ひいてはより多くの日本の消費者が台湾の質の高い海鮮を味わえるようにしたいと意気込みを見せている。