台湾最大の輸出入同業者組合である「台北市進出口商業同業公会(IEAT)」は12日、「世界経済貿易フォーラム」を開催し、蔡英文総統が鄭文燦行政院副院長(副首相)を伴ってイベントに出席した。IEATは設立75年を迎え、会員数は6,400人を超える。
以下は蔡英文総統のあいさつ要旨。
IEATは産業界と政府の架け橋として、75年前に設立された。台湾の対外経済貿易関係を積極的に拡大するためのIEATによる努力と貢献に謝意を表する。同フォーラムの開催では、国内外の関係者を招き、講演者がアジア太平洋の経済と貿易、SDGs(持続可能な開発目標)・ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みについて議論する。
ここ3年間は、コロナ禍による影響や世界的なインフレ、各国の中央銀行が利上げを実施したことなどから、今年の世界の経済成長が鈍化している。これらの課題に直面している台湾も早期に準備を進めており、政府は、経済のレジリエンス強化のための予算を割り当てる特別な規制を推進している。
政府はまた、コロナ禍にあえぐ弱い立場にある人々や中小企業を積極的に支援するとともに、業界のスマート化と低炭素化に向けたアップグレードやビジネスモデルの転換を推進し、引き続き対外経済貿易関係を拡大したいと考えている。台湾と米国は先ごろ、貿易協議の枠組み「21世紀の貿易に関する台湾・米国イニシアチブ」で、第1段階の協定を結んだ。これは、1979年以降に両国が締結したものの中で最も完全な貿易協定といえる。双方の経済貿易におけるマイルストーンとなったことに加え、台湾にとって主要貿易国と協定を結ぶ重要な一歩にもなった。
近年、政府は世界的なサプライチェーン再編の流れに積極的に対応している。台湾企業による台湾への投資を誘致するとともに、新南向政策(南アジア、東南アジア、ニュージーランド、オーストラリアの計18か国と全方位的な関係強化を目指す政策)を推進し、台湾企業が新南向政策対象国との協力を深めることを奨励している。そのほか、台湾は半導体産業において重要な強みを持つことから、サイバーセキュリティと知的財産権が評価されており、より安全で強靱なサプライチェーンを構築するために、より多くの民主主義国家と協力できるよう願っている。