科学技術の発展や学術研究の支援を担う省庁、国家科学及び技術委員会(国科会)が25日に発表したプレスリリースで、林敏聡政務副主任委員(=副大臣)が政策や技術、社会科学などの分野の専門家らと共に、20日から23日にかけてスコットランドの自治政府や脱炭素社会やその技術に関する機関を表敬訪問したと明らかにした。林副主任委員らは、政府の脱炭素化政策や関連の技術開発、産業の発展などについて意見を交わし、目標達成に向けて共同で努力していけるよう期待した。双方は今後、長期的な会議や対話のプラットフォームを整え、それぞれのニーズに合わせてカーボンニュートラルに向けた公正な移行を推進していくという。
スコットランド自治政府は多くの国が2050年のカーボンニュートラルを目指す中、2045年を目標に定めており、変革への決意とマクロ的計画で優位に立っている。また、2016年には最後の火力発電所を廃止した。
こうしたカーボンニュートラル実現に向けた技術と産業の推進方法を学ぶため、林副主任委員らはアバディーンの「エネルギー転換ゾーン(Aberdeen Energy Transition Zone)」を視察、水素エネルギーや風力発電、太陽光発電などグリーンエネルギー技術の統合とその定着についてスコットランド側と交流した。交流の中では技術開発や産業変革、地方での雇用機会、公正な移行、及び設置の経験などが話し合われた。
このほか訪問団は大手電力会社、スコティッシュ・パワーが設けるイギリス最大の風力発電所「Whitelee」を視察し、風力発電とエネルギーを水素に転換する設備とを統合する方法を確認、台湾が将来、グリーン水素の技術と総合的なエコシステムを確立するための参考とした。
また国家科学及び技術委員会によると、脱炭素を推し進める上で「誰も取り残さない」ことの社会的価値を確保するため、林敏聡副主任委員らは今回スコットランドの「公正な移行委員会」を表敬訪問、さらにグラスゴー・カレドニアン大学の「気候正義センター(Centre for Climate Justice)」、アバディーン大学の「公正な移行ラボ(Just Transition Lab)」なども訪れて交流を行った。
台湾とスコットランドの「公正な移行委員会」設置目的とその構造について林副主任委員は、スコットランドの社会では産業や政府、研究機関などを含む公民及び利害関係者がみな積極的にカーボンニュートラルへの変革に参与しており、「公正な移行委員会」はその超然たる立場と独立性が重視されていると指摘。一方で台湾における同様の委員会には各界の代表や専門家のほか、各省庁の関係者も参与しており、政策の執行能力の面で優位に立つと分析した。
訪問団はその後ノルウェーに移動し、ノルウェー政府やゼロカーボン技術の設置が計画されている場所と研究機関を訪れ、ゼロカーボン技術の定着経験を学ぶと共に、この分野における多国間協力モデルの拡大に努めた。