台湾では1997年に口蹄疫(家畜伝染病の一つ)が発生。2020年6月16日に世界動物保健機関(WOAH)より口蹄疫のワクチン非接種清浄地域に認定されるまで、実に24年近くの歳月を費やした。それからさらに3年が経過し、ついに台湾産豚肉の対外輸出が再開した。農業部の陳吉仲部長(=農水相)は11日、屏東県で台湾産豚肉の対フィリピン輸出再開を祝う記者会見を開いた。輸出されるのは台湾産豚肉22トンで、水路で運ばれ、1週間後にフィリピンへ到着する見通しだ。陳吉仲部長は「畜産農家や食肉加工業者にとって大きな励みになる」と輸出再開を喜んだ。
今回のフィリピン向けの輸出再開には、政府と民間業者が一丸となって取り組んだ。まずは今年1月、嘉一香、欣楽、和栄意、泰安、信功、台畜など台湾の6つの食肉加工業者がフィリピンの農業当局から輸入の許可を獲得。今年7月にはフィリピンの豚肉輸入業者が台湾を訪れ、各社の食肉加工工場を視察。2か月にわたる商談の結果、嘉一香食品有限公司がフィリピン業者から受注を獲得した。
11日に屏東県で開かれた記者会見では、農業部の陳吉仲部長と嘉一香食品有限公司の陳国訓董事長が、豚肉を詰め込んだコンテナに封をする儀式を行った。40フィートコンテナに詰め込まれた台湾産豚肉22トンは、水路を使って5~7日かけてフィリピンへ向かう。台湾が口蹄疫のワクチン非接種清浄地域に認定されて以降、台湾産豚肉の対外輸出が成功した最初のケースとなる。
台湾はすでに口蹄疫の発生地域から除外され、現在は家畜伝染病である豚熱(CSF)についても台湾全域でワクチン接種を停止し、「豚熱ワクチン非接種清浄地域」の認定獲得を目指している。これを踏まえて陳吉仲部長は「今回の台湾産豚肉の対外輸出は大きな意義を持つもの。畜産農家たちが感染症対策に協力するためのモチベーションとなり、冷凍食肉加工業者にとっても励みになるものだ」と述べた。
嘉一香食品有限公司の陳国訓董事長は今回フィリピン業者から豚肉の受注を獲得できたことについて、「台湾産豚肉の品質と生産過程が国際市場のニーズに合致していると認められ、豚肉の主要な供給国であるデンマークやスペインなどの国々と競争できるレベルにあることを意味するもの。これからも台湾の業者が力を合わせて協力し、海外市場の開拓を進めていきたい」と意気込みを語った。