農業部(日本の農林水産省に相当)が9日、台湾とニュージーランドが同日開かれた「台湾-ニュージーランド経済貿易協力協定(ANZTEC)食品安全検査及び動植物検疫措置合同管理委員会(SPSJMC)会議」において、「台湾産青果の対ニュージーランド輸出計画」に署名したと明らかにした。これにより同日から台湾産パイナップルの対ニュージーランド輸出が可能になった。
農業部によると、台湾産パイナップルの海外市場拡大に向けて台湾では2017年からパイナップルに関する生産と栽培、気候、病害虫、収穫後の処理プロセス、輸出実績などの資料をまとめ、ニュージーランド側に輸入許可を申請。8年近い協議と追加資料の補充などを経て、このほどついに「輸出計画」の署名が実現した。
同「計画」の内容によれば、ニュージーランドに輸出するパイナップルにはシステム化された管理措置が必要なほか、緑熟期での収穫が求められる。生産、収穫、処理、輸送の流れの全てに追跡可能な記録を残しておかなければならない。また、輸出のシーズン前には毎年生産者らへの教育訓練も行う。輸出されるパイナップルは冠芽を取り除いたもので、輸出検疫では600個をサンプル検査にあてて貨物にニュージーランドが懸念する病害虫がいないことを確認する。
農業部は、「パイナップルは我が国にとって輸出のフラッグシップとなる重要な果物だ。香り高く、甘くてジューシーといった特徴があり、国内外で大変歓迎されている」と強調。台湾産パイナップルには様々な品種があり、農家はそれぞれの生産地や品種、収穫期を調節する技術を運用することで年間を通した生産を可能にしている。すでにカナダ、日本、韓国、オーストラリア、香港、シンガポール、マレーシア、マカオ、ブルネイ、アラブ首長国連邦、バーレーン、インドネシア、パラオ、グアム、マーシャル諸島、オランダ、ロシアなどへの輸出が認められている。農業部は、今回ニュージーランドが台湾の生鮮パイナップルの輸入を認めたことで、パイナップルの輸出市場はいっそう広がると期待している。
ニュージーランドの市場開拓のため農業部が検疫に関する協議に積極的に取り組んだことで、近年ニュージーランドはオンシジュームの切り花、マンゴー、ライチなど様々な生産物の輸入を認めるようになった。農業部はまた、海外輸出を後押しする補助や台湾産農産物の販促イベントなどで、生産農家と業者の受注や、海外の流通業者との安定した買い付け及び提携関係の確立をサポートしている。
マンゴーは2021年に輸出が可能になると、輸出量が年々倍々ゲームで成長。ライチは昨年新たな検疫条件が決まると、年度内に初めての対ニュージーランド輸出が実現した。ニュージーランドが台湾産パイナップルの輸入を認めたのを受け、農業部は農家と業者による市場拡大に協力すると共に、輸出果物の品質をさらに引き上げ、台湾の農産物のニュージーランドに対する輸出実績を広げていきたいとしている。