経済部(日本の経済産業省に相当)が米国国立科学財団(National Science Foundation,NSF)と共に9日と10日、台北市南港区で、ディープテックに関するスタートアップ交流活動を開催した。活動には双方のアクセラレーターとスタートアップ企業が参加し、ディープテック分野での新たな提携と課題を共有した。
ディープテックとは画期的な科学的発見や先進技術を再生可能エネルギーや半導体、量子情報科学、材料工学などに用いるもので、こうしたイノベーションが革新的な影響をもたらし、社会で最も切迫した課題にソリューションを提供することが期待されている。
経済部の陳正祺政務次長(=副大臣)は、ディープテックは台湾経済が関心を寄せる重点で、政府はアクセラレーターの育成、技術の検証ならびに実証の場所、国家発展基金や民間のベンチャーキャピタルの組み合わせなどを通じて、ディープテックの技術的成果の産業化と商業的価値の実現を目指すと述べた。
活動には台湾と米国のアクセラレーター及びスタートアップ企業の関係者50名が参加、2日間の交流ワークショップでは「ディープテックの探求」と「世界の舞台にまい進」という二大テーマにフォーカス。6回のフォーラムに分け、双方が共に享受できる政策資源とメカニズム、ディープテックのスタートアップの発展と成功のカギとなる要素、そしてディープテックで起業する女性の強みと難しさ、双方がいかに協力すれば新たな技術の国際化を加速出来るかなどについて話し合った。ワークショップが終わると米国から参加した人たちは、工業技術研究院(ITRI)、企業、林口新創園区(スタートアップ・テラス)を訪問し、台湾におけるディープテックの産業としての力を確認した。
米国側は、今回の交流を通じて台湾の科学技術産業及びスタートアップのエコシステムを知り、それら産業との人脈づくりを望んた。一方台湾側は、スタートアップ企業が米国で市場を拡大した経験を学ぶこと、米国のディープテック発展計画及びアクセラレーターの資源を把握し、台湾のスタートアップ企業の米国進出を加速することを目標にした。また、双方は今回の交流成果を、双方が政策面での連携を推進するための参考としてとらえている。
今回の活動は「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」に続いて双方が協力メカニズムを築くもの。ビジネスに必要な情報の共有、双方の業者と政府が参与しての中小企業対話により、台米の中小企業の貿易、投資、提携機会の増加を図る。経済部はこれからも米国におけるスタートアップのエコシステムと交流し、台湾のスタートアップ企業の米国市場進出と資金ならびに人脈へのアプローチを支援していくとしている。