台北駐米経済文化代表処(米国における中華民国大使館に相当)の姜森副代表(公使)と米国の対台湾窓口機関である米国在台協会ワシントン本部(AIT/W)のイングリッド・ラーソン(Ingrid Larson)執行理事が3日午後(現地時間)、台湾と米国の食料安全保障に関する協力了解覚書(MOU)を締結した。台湾と米国は二国間協定と対話のプラットフォームを確立することで、官民連携で食料の生産や需要に関する情報を交換し、食料安全保障に関する戦略や関連の貿易の強化に向けた議論を行う。台湾への穀物の安定且つ持続的な供給が約束されると同時に、双方の農産物貿易が促進され、食料安全保障が確保される。
米国は穀物の主要な輸出国の一つ。台湾は昨年(2023年)、米国から大豆、小麦、トウモロコシなど約300万トンを輸入した。これは台湾の穀物輸入全体の4割近くを占める。つまり米国は台湾にとって主要な穀物の供給源である。農業部はこれまで、APEC(アジア太平洋経済協力)やその他の国際組織の活動を通して、米国等の貿易パートナーと共同で食品ロスの削減を推進したり、気候変動が農業生産や貿易に与える問題について関心を寄せてきた。また、農産物の貿易相手と官民一体となって協力や交流を強化することは、食料の供給安定を図る上で重要な作業である。
農業部によると、世界的な経済環境の変化や、地域性の軍事衝突や気候変動によってもたらされる課題を克服するため、食料の安定供給を図り、食料安全保障を維持することは台湾など食料を輸入に頼る国にとって現在最も重要な課題と言える。このため農業部では、食料安全保障に関係する政策や措置を多数実施すると同時に、農業の生産資源や環境の維持、気候スマート農業(CSA)技術の開発や自然災害による損失補填や保険計画等の強化などを進め、農業のサステナビリティの促進や食品供給体系の強化を促進している。また、近い理念を持つ貿易相手とは、多様な市場メカニズムを尊重しながら、官民間が信頼できるパートナーシップを確立できるよう促し、ウィン・ウィン且つ強靭性のある食料安全保障のサプライチェーンを確立したい考え。