米国のトランプ大統領は、カナダ及びメキシコからの輸入品に25%の関税を課すことを発表した(3日になって関税の発動を1カ月見送ることを決定)。こうした動きが一部の企業の海外展開に影響が出ることを懸念し、経済部は複数の対策を講じている。経済部の外郭団体で貿易振興機関の中華民国対外貿易発展協会(TAITRA、日本での名称は台湾貿易センター)や工業技術研究院(ITRI)などが海外に持つ拠点を通じて、台湾企業がサプライチェーンや投資戦略を調整し、経営の安定を図れるよう積極的にサポートする考えだ。
一、プロジェクトサービスチームと相談のためのホットラインを開設、タイムリーな協力を提供 TAITRAはアメリカ、カナダ、メキシコ、東南アジア、南アジアに設置する事務所を取りまとめて「プロジェクトサービスチーム」を発足。台北のTAITRA本部と連携し、いわゆる「トランプ関税」の影響を受けた企業からの相談に対応したり、即時協力を提供する考えを示した。TAITRAは同時に、台湾企業向けの「トランプ関税」ホットライン(02-27577190)も開設している。
二、海外展開する台湾企業の状況に応じたサービスの提供
海外展開の見直しを検討している台湾企業に対して、例えばアメリカへの工場移転や一部の製造プロセスを東南アジアやインドなどほかの国に移すことを検討している企業に対して、移転を検討している市場に関する情報を提供する。これには、例えば対米投資であれば州ごとの、あるいはその国ごとの投資に関する法令、関連市場の商機、パートナー企業とのマッチング支援などが含まれる。
また、一部の生産能力を現地の内需市場向けに供給することを決定した台湾企業には、現地市場の法令やパートナー企業とのマッチングサービスなども提供する。
三、アメリカに「投資貿易サービスセンター」を設立し、サプライチェーンの海外展開を支援
経済部の「境外関内」(台湾の供給を世界へ拡大)政策を実践するため、アメリカに「台湾投資貿易サービスセンター」を設立する。これにより台湾企業がアメリカ各州の投資環境を評価したり、サプライチェーンを移転させたり、現地でパートナー企業を探すことを支援する。
四、台湾とアメリカの産業連携を強化し、台湾企業の革新と高度化を支援
工業技術研究院(ITRI)の北米オフィスを通して、台湾企業とアメリカ企業のR&D(研究開発)および製造分野での協力を積極的に促進する。これにより台湾企業が現地のパートナー企業を見つけ、技術協力や共同開発、投資計画を進め、ひいては企業の競争力を高められるよう支援する。
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経済部は、「今後も国際貿易の動向を注視し、各産業との意思疎通を維持しながら、台湾企業に最も迅速な支援と協力を行い、台湾企業が環境の変化の中でも最善の戦略を講じられるよう支援していきたい」としている。