今回の台湾訪問には、山形県の造り酒屋「米鶴酒造」の社長も同行し、台湾産コメを原料として造った日本酒を持参した。米鶴酒造は14年前の東日本大震災で、台湾が日本の被災地に惜しみない寄付と力強い支援をしたことに心からの感謝を伝えた。そのため、2024年4月に花蓮でマグニチュード7.1という大規模地震が発生した際、その災害に対する大きな懸念を示していた。そこで、日本の産業振興の経験を共有し、花蓮の地域および産業振興に一役買いたいと考えた。米鶴酒造は、台湾の花蓮・台東地域が良質米の産地だと知り、昨年12月、被災地で栽培されていたブランド米「台東30号」を1トン購入、自社の酒造ノウハウを結集し、台湾と日本の協力精神を体現した日本酒を誕生させた。
高畠町の高梨忠博町長によると、米鶴酒造は元禄時代(1700年頃)に創業してから、同地の米沢藩上杉家の御用酒蔵として発展を続け、300年以上の歴史を持つ山形県で非常に有名な名声ある酒造会社。社名の「米鶴」は、日本に伝わる有名な民話「鶴の恩返し」に由来し、「感謝の気持を伝える」ことを第一に酒造りに邁進しているという。それが、今回の新製品開発の発端で、台湾と日本の相互の感謝を表すものとなった。
台湾産コメと日本の酒造技術を融合させた新製品は、先ごろ完成したばかりで、逆さ文字の「福」と名付けられた。これは、中国語で「福が倒れる」と発音が同じことから「福が到来する」を意味する台湾でもお馴染みの縁起文字。日本の東北地方から台湾に送られた貴重な贈り物を示すものでもある。この日本酒は限定1,700本(720ml)の生産予定で、18日から東北地方と台湾で販売されている。米鶴酒造は、双方の消費者が、台湾と日本のコラボレーションによる美味しさと感動を味わってほしいと意気込む。
胡次長は、今回の台日協力で、台湾の良質米を使って日本酒を製造した経験が、台日の友好・協力関係を深化させる積極的な意義を示しているとの喜びを述べた。農業部は、台日間における農業交流・協力の可能性の起爆剤になり、日本がこれを機に、台湾の良質な農産物をさらに多様かつ大量に採用するよう望んでいる。非加工食品あるいは商品開発の原料として活用され、引き続き両国の農業交流を強化し、ウィンウィンの関係を築けるよう期待している。