2024年10月、日本政府は台湾で養殖された龍虎ハタ(台湾華語では龍虎斑。アカマダラハタとタマカイの交配種)の輸入を解禁した。これを受けて今年2月上旬、台湾産龍虎ハタの対日輸出第1弾の出荷が行われた。日本市場の開拓を図る農業部(日本の農林水産省に類似)は、福岡県福岡市に本社を置く西日本鉄道株式会社(以下、西鉄とする)と協力し、同社が運行する観光列車などで台湾産龍虎ハタを使った限定メニューを提供する。西鉄の林田浩一社長が24日、農業部の陳駿季部長(農業相)を訪ね、今後のさらなる協力の可能性について話し合った。
この会談で陳駿季部長は、台湾の農・水産物にとって日本は3本の指に入る輸出先であること、台湾と日本が長年にわたって緊密な貿易関係を維持してきたことを指摘。また、西鉄のサポートにより、今回台湾産龍虎ハタの日本市場進出が実現したことに感謝した。陳部長は、台湾の優れた農・水産品について紹介した上で、すでに国際獣疫事務局(WOAH)に対して豚熱(CSF)の清浄化承認を申請しており、今年5月の総会で正式に認められる見通しであることを踏まえ、今後は台湾産の生鮮豚肉についても対日輸出が可能となるとして、日本の消費者にぜひ質の高い台湾産豚肉を味わって欲しいと伝えた。これに対して林田社長は、幼いころから台湾産バナナやパイナップルの美味しさや質の高さを知っており、台湾の農産品には高い信頼を寄せているとして、今後さらに多くの台湾産フルーツを輸入し、日本の消費者の選択肢を増やしていければと期待を寄せた。
西鉄グループは福岡を基盤に、鉄道、バスだけでなく、ホテル、商業施設などを運営し、人的往来が多い重要な拠点で強大なマーケティングリソースを有している。農業部は、西鉄が持つマーケティング能力や販路を活用し、台湾産龍虎ハタの日本での知名度向上を図る。今回のプロモーションは、西鉄の観光列車(THE RAIL KITCHEN CHIKUGO)、株式会社西鉄ホテルズ傘下の日本国内4つのホテルのビュッフェや直営レストラン、スーパーマーケット(にしてつストア、レガネット、スピナ)を通じて3月上旬から行われる。そのうち観光列車では、ミシュランの星を獲得したシェフによる春季限定メニューとして「台湾龍虎ハタと春野菜のパイ 柑橘のソース」が提供される。プロモーション期間は3か月間で、より多くの日本の消費者に龍虎ハタの独特の風味を味わってもらいたいとしている。
農業部によると日本市場でのコラボ事業としては、2023年に京浜急行電鉄とのコラボで行った「台湾排骨(パイコー)弁当」の販売に続くもの。今回のプロモーションで台湾の主要な農・水産品の知名度を高め、話題を呼ぶことを期待している。農業部は、今後も流通業者などとのパートナー関係を強化し、台湾産農・水産品の海外市場開拓を強化したい考えだ。
詳細は西鉄のニュースリリースを参照のこと。