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世界はいま変わりつつある。台湾はチャンスをしっかりつかまなければならない。台湾はすでに「世界の台湾」となっている。長年の努力の結果、国際社会から肯定的に評価されているのだ。台湾は国際社会においてポジティブなパワーとなっている。だから台湾はこれまでも多くの困難に直面してきたが、すべて積極的かつ前向きな姿勢で臨み、問題の解決に取り組む中で進歩するための力を得て、常に国家を前進させてきたのだ。
現在の国際情勢にはさまざまな課題があふれている。その第一が、国際情勢の急速な展開だ。トランプ米大統領がこれほど短期間のうちに「相互関税」政策を打ち出し、台湾に衝撃を与えるとは誰も予想していなかった。これは当然ながら、世界全体にも影響を与えている。第二に、集権主義、権威主義の台頭と拡大だ。これは地政学的にも世界の平和と安定にとっても大きな挑戦だ。第三に、ネット・ゼロやデジタル・トランスフォーメーション(DX)の問題だ。
台湾はどんな挑戦に対しても、積極的に向き合っていかなければならない。「苦しみを養分とする」が台湾の精神だ。今回の「相互関税」についても、与野党が協力し、全国民が団結して対処すれば、必ずこの困難を乗り越えられるだろう。もちろん気を抜いてはならない。慎重に向き合い、一歩一歩着実に進めることで、衝撃を最低限に抑えることができるはずだ。
過去数十年にわたる努力により、台湾の経済にはすでに強い強靭性が備わっている。台湾の年間輸出額は4,000億米ドル余りだが、そのうち対米輸出が占める比重はわずか23.4%だ。つまり、残りの76%はその他の国・地域への輸出である。つまり、アメリカの「相互関税」発動による影響は避けられないが、過度に恐れる必要はない。なぜなら台湾の経済はすでに十分な強靭性を備えているからだ。
台湾は米国との協力を望んでいる。このため自分は直ちに、米国への報復関税は実施せず、それが国益に合致する限り、台湾企業による対米投資計画に変更はないことを明言した。米国の産業との協力を通じて、グローバル・サプライチェーンにおける台湾のプレゼンスを向上させ、台湾産業の高度化と経済のさらなる発展を目指したいと考えている。
自分は米国の「相互関税」発動に対抗するための五大戦略として、(1)関税の引き下げを目指して交渉を行う、(2)「相互関税」発動の影響を受ける台湾の産業に対する支援策を講じる、(3)中長期の経済発展計画を提示し、その実施を加速する、(4)「台湾+米国」の新たな布陣を構築する、(5)産業界の声に耳を傾け、座談会を開催する―の5つを掲げている
自分と行政院の卓栄泰院長(首相)はすでに各業界との座談会をスタートさせている。企業の声に直接耳を傾けることで、「相互関税」発動の影響を最小限に抑えられるよう努力している。アメリカはすでに、台湾とイスラエルを最初の交渉対象国に挙げている。台湾と米国は昨晩(11日夜)、早速テレビ電話で交渉を行い、話し合いは順調に行われた。
また、米国との交渉チームもすでに発足しており、台湾は今後、米国からの輸入を拡大し、貿易赤字を削減すると同時に、対米投資も拡大して台米間の産業協力と経済・貿易関係を深化させていきたいと考えている。長年未解決となっている非関税障壁の解消、米国側が長年懸念を示してきたハイテク製品の輸出規制や、ダンピングによる原産地偽装問題等の解決にも積極的に取り組んでいきたい。
台湾は皆さんの努力のおかげで、他国と比べても比較的自信を持てる立場にある。さまざまな挑戦に対し、これからも粘り強く取り組んでいこう。