太陽電池モジュールの性能・安全性に関する第三者認証を行う、工業技術研究院(工研院)「太陽光電測試実験室」の技術に、大きな成果が生まれた。同実験室は2009年から数々の国際電気標準協会(IEC)の認証を相次いで取得しているが、今年はIEC加盟各国の相互認証基準を満たすCB認証の発行が可能な「防火テスト実験室」の設置が完了した。これは日本の電気安全環境研究所(JET)と米Underwriters Laboratories (UL)に続き、世界で3つ目の太陽電池モジュールの防火テスト技術を備えたCB試験所(CBTL)となった。今後国内メーカーに対してより整備された先進的な認証サービスを提供、優れた台湾の太陽電池製品が、欧米や中国大陸など巨大市場を開拓する際に大きな力となることが見込まれる。 経済部能源局(エネルギー局)の欧嘉瑞局長によると、太陽電池産業は、政府が近年特に力を入れて推進している産業である。統計によると、台湾の2010年の太陽電池関連産業生産額は1,770億台湾元(4,700億日本円)、生産量は3GW(ギガワット)に達し、日本の2.5GWを超え中国に次ぐ世界2位となった。過去2年の間、平均複合成長率は40.6%に達し、世界平均の11%を大幅に上回っている。同時に、能源局はテスト認証技術の確立と応用を全力で支援、これを機に認証・テストのプラットフォームを構築し、テストの質を向上させることで、企業の量産のスピードの加速や、生産能力の付加価値付与に貢献し、産業全体の国際競争力が高まることを期待していると欧局長は指摘した。
工研院の世界初の大型薄膜太陽電池モジュールのテスト実験室。(工研院サイトより)
工研院量測技術発展センターの段家瑞主任によると、工研院太陽光電測試実験室のテスティングシステムは、政府の強力な支援のもと、防火テストや温度テスト、機械負荷テスト、ヒョウによる衝撃テストなど80%が自身の研究開発によるもので、優れた研究開発の技術力を備えた試験所である。最もユニークなのは、自身の開発による太陽電池モジュールの「防火テスト実験室」で、世界では日本JETと米ULにしかない水準のものだという。この試験所の設置は科学技術の発展における指標的な意義があると同時に、国内の産業への貢献も大きく、国内メーカーの国際認証の取得期間を大幅に短縮すると見込まれる。 ※CB試験所(CBTL)とは、CB認証の発行が認められた試験所のこと。 ※CB認証(国際認証スキーム)とは、国際電気標準会議(IEC)に加盟する世界各国の認証機関(CB: Certification Body)が参加する「相互認証制度」のこと。IEC加盟国への輸出に際し、CB認証機関が発行するCBレポートを利用して加盟各国へ認証および承認申請することができるため、国ごとの試験が不要となり、時間とコストの節減につながる。