台湾では、七夕は「七娘媽(織姫=おりひめ)」の誕生日とされている。「七娘媽」は、子どもの守り神であり、「床母」は幼児の守り神である。七夕には「床母」をまつる風習があり、幼児のいる家庭では、七夕の夜に「床母」に祈り、「紙銭(紙幣を模した礼拝の際に燃やす冥銭=めいせん)」の「四方銭(または刈金)」、と「床母衣」を燃やす。
台湾全土では、七夕情人節のさまざまなイベントが行われる。行政院客家委員会は18日夜に、苗栗客家文化パークで七夕コンサートを開催。会場では600組限定で、カップルにお守りが贈られた。台北市では同日、大稻埕埠頭(ふとう)と延平河浜公園で花火大会が行われ、鮮やかな打ち上げ花火が夜空を彩った。同市は23日の七夕当日、市役所前市民広場で台北情人節のイベントを開催、カップルのため、レーザー光線が飛び交う眩い空間を演出する。
宜蘭七夕情人節のイベントは、25日から2日連続で礁渓郷の龍潭湖風景区で開かれる。会場には135メートルの長さの、七夕の伝説で天の川にかかるという「鵲橋(かささぎばし)」が設置され午後7時7分から点灯する。
台南市の台湾鉄道永康駅では、保安駅から永康駅までの「永保安康」と書かれた「龍鳳」切符セットを、18日から発売した。この切符は、左上から反時計回りに読むと、「永保安康(いつまでも安らかで健康に)」となるため、縁起のいい切符とされる。
また、七夕情人節にちなみ、縁結びの神様として知られる月下老人をまつる台北霞海城隍廟とその一帯では8月いっぱい、月下老人をテーマにさまざまなイベントを開催する。周辺の古い商店街を巡り、伝統的な文化と巷の人情に触れてもらいたいとの期待が込められている。なお、自分にとってよい縁を願うときには、供え物を携えて月下老人を拝み、最後に赤い糸を廟の前の香炉に3度巻き付け、これを身に付けていると、幸運が訪れると言われている。さらに、カップルなら2人で龍山寺を訪れ、恋の成就を祈願するのもよい。相手がいないときには、良縁を祈った上で、おみくじで運勢を占う。
当日一緒に過ごす人のいない女性のため、ボーイフレンドとして一緒に映画を観に行くというサービスや、遠距離恋愛中の恋人からの依頼で花や高級なプレゼントを手渡すサービスもある。さらに、ホテルやモーテルの稼働率も高くなるため、施設では掃除の人手を増員して対応することもある。
今年新しく出たユニークなサービスに、恋人のいない女性に、外見のよい男性を派遣し、恋人気分を楽しんでもらうというものもある。派遣された男性は2時間で3,000台湾元(約7,941日本円)の小遣い稼ぎになるという。
七夕のカップルの過ごし方といえば、豪華でおいしい食事も欠かせない。行政院衛生署国民健康局は、人々の健康への意識が高まる中、各地の衛生局を通じ、飲食業者にカロリーと脂肪分控えめで、野菜や果物たっぷりで、地元の食材を使った七夕メニューを提供するよう呼び掛けている。また、市民に向け、野菜が多く、メイン料理が重すぎず、揚げ物や高脂肪の食品を控えたメニューを選ぶようすすめている。適量を2人で分け合うことで、健康にもよく、財布にもやさしいと説明している。
国民健康局はまた、2人で散歩するなど、身体を動かすこともすすめている。時速4キロメートルのウォーキング1万歩、または時速8.8キロメートルのサイクリング100分間で300キロカロリーを消費することができる。
各地方政府がすすめる七夕情人節のコースメニューは、国民健康局の肥満防止サイト(http://obesity.bhp.gov.tw)や、アプリストアで無料でダウンロードできる携帯端末向けアプリ「享受健康App」の健康の秘訣メニューで紹介している。