2025/05/08

Taiwan Today

経済

微細藻類からのバイオ燃料生成、台湾は世界レベル

2012/11/30
経済部エネルギー局と行政院農業委員会水産試験所、工業技術研究院は現在、共同で微細藻類からバイオ燃料を生成する技術の研究・開発を進めている。(中央社)
バイオマス(生物資源)によるバイオディーゼル燃料(BDF)の活用比率の拡大は未来のトレンドであるが、まずは自主調達できる油脂原料を開発しなければならない。微細藻類は生育の速さや、炭酸固定能力、油脂含有量の高さといった長所を持つ。さらに台湾の自然環境が、微細藻類を主体としたバイオマスの開発に適しているとともに、微細藻類はその培養において、他の作物と土地の面で競合しない。こういったことから政府は、微細藻類からのバイオ燃料生成に取り組んでいる。

微細藻類からのバイオ燃料生成の技術には、藻類の種の開発から養殖、採集、油脂抽出、エステル交換反応などの研究開発がある。台湾は微細藻類の養殖や採集などの技術で世界的な水準にある。また、先進的な遺伝子組み換え技術による改良で、油脂の含有量が30%から70%に向上、湿ったペースト状の藻から連続して油脂を抽出する設備など、藻類の種の改良と油脂抽出の面でも画期的な進展をみせている。さらに、袋状のバイオリアクターでの藻類培養では、1日1平方メートル当たり20グラム以上の油脂を生産できる。将来的に大規模化で量産を図れば、年間1ヘクタール当たり1万5,000リットルのバイオ燃料の生産と、二酸化炭素(CO2)100トンの吸収が可能となる。さらに、微細藻類の採集に使用する多層式ろ過採集設備は、効率が高い上に、設備と操作のコストも低い。通常の方式に比べ、エネルギー消費は10分の1と、優れた性能で世界的に注目を集めている。これにより、工業技術研究院は、米国エネルギー省(DOE)のプロジェクト「National Alliance for Advanced Biofuels and Bioproducts(NAABB)」と、この採集システムで協力覚書を交わした。

エネルギーの自給率の向上は、台湾のエネルギー政策の既定方針である。台湾の自然条件は、微細藻類の技術開発に適している。また微細藻類は、バイオマスとしてだけでなく、餌や飼料、健康食品、化粧品といった産業にも応用でき、エネルギーの安全や、持続的な環境と経済発展にも優れた貢献を果たすことが期待されるため、今後さらにこれを開発し推進する価値があるのである。

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