2025/05/08

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国立台湾海洋大学、馬祖「青い涙」現象の再現に成功

2017/02/24
国立台湾海洋大学(台湾北部・基隆市)はこのほど、馬祖の海岸を青色に光り輝かせる「青い涙」現象について、その原因の一つが夜光虫であることを突き止め、その人工繁殖に成功した。(馬祖国家風景区管理処提供、中央社)
毎年4月ごろから、離島・馬祖の沿岸では、海水が青色に光り輝きながら波打つ現象が見られる。通称「青い涙」と呼ばれるものだが、発生の原因は解明されていなかった。
 
国立台湾海洋大学(台湾北部・基隆市)はこのほど、「青い涙」を発生させる原因の一つが夜光虫であることを突き止めた上、1年以上かけてその人工繁殖に成功した。同大学では今後、展示館を設置し、人工繁殖させた夜光虫を展示する計画。これが実現すれば、1年を通して「青い涙」を鑑賞できるようになるという。
 
国立台湾海洋大学の張清風校長によると、同大学は馬祖キャンパスを開設し、2017年度より新入生の募集を行う。同大学はこれを機に、馬祖地方の産業発展に寄与し、同時に馬祖の文化や生態と結びついた学術研究を行いたいと考え、傘下の海洋センターを通して、教育部(日本の文部科学省に類似)が実施する「邁向頂尖大学計画(Aim for the Top University Project)」の研究助成事業に参加。500億台湾元(1,836億日本円)の研究費を得て、5カ年計画の「馬祖海域の海洋生態に関する調査計画」を進めることとなった。
 
同大学の研究チームは2016年4月14日より馬祖の介寿澳口で毎日サンプルを採取し、「青い涙」の現象に環境因子が関係している可能性があることを突き止めた。つまり、海水が青色に光り輝く現象が最も良く見られる時期はほとんどが、植物プランクトンが急成長する「海藻ブルーム(微小な藻類が高密度に発生して水面付近が変色する現象)」の期間と重なることが分かったのである。
 
特に「海藻ブルーム」が収束する際、海中の夜光虫の数量はピークに達し、その密度は1リットル当たり300匹を超えることが分かった。このため研究チームは、夜光虫の大量発生は、植物プランクトンの増加が誘発するものだという初歩的な結論を下した。中国大陸の河口と向き合う馬祖の海岸には、陸上からの汚染物が流れ込み、これが植物プランクトンを増殖させる要因となっている。植物プランクトンが増えると海水が濁り、夜光虫が増殖する。夜光虫がこれらの植物プランクトンを食べつくすと、海面は再び輝きを取り戻し、水質も改善する。つまり、「青い涙」現象は、水質の浄化作用を持つものであり、海洋汚染の現象でもなければ、有害な赤潮生物によるものでもないのである。
 
馬祖の「青い涙」が一種の自然現象であることは分かったが、それが発生する状況を把握することは難しく、これが「青い涙」を観光資源として利用する際の障害となっている。この問題を解決するため、同大学は2016年7月より夜光虫の大量培養を開始し、培養の初期段階に成功した。また、20キロリットルレベルの長期養殖にも成功しているが、今後はこれを展示できるレベルの1トン程度に増やしていきたいと考えている。
 
馬祖列島に県庁を置く連江県は、水産試験所(同県南竿郷)跡地に「青い涙」現象の原因の一つとなる夜光虫を培養、展示する展示館を設置することを計画し、南竿郷を訪れる観光客に、「青い涙」を鑑賞する機会を提供したいと考えている。一方、台湾国立海洋大学は同県北竿郷に開設する馬祖キャンパスに「藍眼涙生態中心(「青い涙」生態センター)」を設置し、「青い涙」に関する研究の継続や、研究成果の紹介、社会教育を行う場として活用するほか、これを機会に北竿郷エリアへの観光客誘致に努めたいと考えている。
 

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