インバウンド(訪台外国人旅行者)市場の拡大に向け、台湾北部・台北市の観光伝播局が各国の旅行者の多様なニーズに対する意識を高めている。台北市観光伝播局は26日、「2017年の訪台旅行者の台北市における消費動向調査」の結果を発表した。
それによると、訪台旅行者のうち9割が台北市を訪れる。しかし、これら旅行者はお国柄によって旅のニーズに違いがあるため、台北市はそれらのニーズにマッチしたプロモーションを考えている。例えばムスリムの女性はヘジャブをかぶり、顔が隠れる場合もあるので、ネイルアートやまつ毛のエクステンションのプロモーションが可能。また、シンガポールの人たちには「女子旅」を提案。調査の結果、シンガポールの女性にはヘアメイクなどした上でプロのカメラマンに撮ってもらうアート写真や女性同士のウェディングドレス写真が人気であることが分かったため、今後はウェディングドレス業者と協力して宣伝していく。タイからの旅行者には主にファッションと化粧品、ベトナムからの旅行者には都市観光やショッピングをPR。また、日本には修学旅行を売り込む。韓国に対しては季節によってターゲットを変え、夏は主に若者、冬はシルバー世代に向けて台湾旅行をPRしていくという。
今回の調査の結果、こうした旅行者の台北市滞在日数は平均で4.35日、主に利用する交通機関は台北都市交通システム(MRT)であることが分かった。台北市内での主な活動はショッピング、ナイトマーケット散策、都市観光で、古跡や文物の参観は4位だった。昨年、これら旅行者が台北市内で訪れた観光スポットの上位5位は、ナイトマーケット(74.53%)、超高層ビルの台北101(67.33%)、西門町(48.75%)、信義商業エリア(40.33%)、国立故宮博物院(38.81%)の順。西門町の上位3位入りは初。また、信義商業エリアが上位5位に入ったのも初めてだという。
旅行者が訪れた場所のランキングで故宮博物院は2016年の3位から昨年は5位に後退したが、旅行者が最も好きな観光スポットとしては引き続きトップだった。2位は陽明山、3位には大稲埕が初めて入った。台北市のイメージでトップだったのはグルメ。次いでナイトマーケット、交通、人情味の順だった。
台北市を海外から訪れた人で最も多かったのは中国大陸の人。次いで日本、香港・マカオ、韓国の順。韓国からの旅行者はこのところ急速に増加。2014年からは、海外から台北市を訪れる人の4位に食い込んでいる。日本と韓国からの旅行者は過去4年で20%増えたが、東南アジアからの旅行者は1年で30%近く成長した。台北市を訪れた旅行者の観光スポット及び消費経験に対する満足度は96%以上。将来、再び台北市を訪れる意向を示したのは93%だった。
また、台北市で購入するお土産品や食べるものについての調査では、中国大陸、日本、シンガポール、タイの人たちはみなパイナップルケーキをお土産にすることを好むことが分かった。香港とマカオの人は「乾伴麺」(タレをからめて食べる即席麺)、「花雕鶏麺」(花雕酒を使った鶏料理の味をした即席麺)、粉末コーンスープを多く購入。香港とマカオの人たちは化学調味料のスープを飲むのが好きなことから、台湾でも即席麺関連の商品を購入するという。中国大陸の人はパイナップルケーキ、お茶、「太陽餅」(台湾中部・台中市の名産品)を最も好む。中国大陸の人たちが台北市で食べるもので人気なのは、「麻辣鍋」(激辛の鍋料理)、「牛肉麺」(牛肉が入った汁そば)、「魯肉飯」(しょうゆ味で煮込まれた豚肉のそぼろがかかったご飯)、及び地元のB級グルメ。彼らはまた、台湾の伝統的な朝食店も好む。
シンガポール人も台湾風味の朝食を好む他、「牛肉麺」も好きだという。シンガポールから来た旅行者の一部は伝統的な朝食店として人気の「阜航豆漿」の名を挙げるなどマニアック。そしてシンガポールには無い、「芋頭奶酥包」(タロイモや台湾風ミルクスプレッドの入ったパン)が最も楽しみだという。日本人旅行者はお茶、パイナップルケーキ、美容パック、即席麺をお土産にする。一部の日本人旅行者は、「魯肉飯」の缶詰など特殊な商品ばかりを購入。食べ物は中華料理、「木瓜牛奶」(パパイヤとミックスした牛乳)、朝食を好む。理由は安くておいしいから。
韓国人旅行者にとって台湾で買わなければならない3つの商品は「黒人牙膏(DARLIE)」(練り歯磨き)、「三点一刻奶茶」(ミルクティーのティーバッグ)、「熊宝貝香氛包」(芳香剤)。食べなければならないのは「小籠包」(ショウロンポウ)、「牛肉麺」、「珍珠奶茶」(パールミルクティー)、「水果啤酒」(フルーツ味のビール)。
フィリピン、ベトナム、インドネシア、タイの人たちは台湾製の「3C商品」(コンピュータ、コミュニケーション、コンシューマーエレクトロニクス商品)、スポーツシューズがお気に入り。マレーシアの人はTシャツと健康食品。濃い目の味付けを好むフィリピンの人たちは台湾のバーベキュー、スイーツなどを食べるのが好きで、インドネシアの人たちは台湾の特色ある「珍珠奶茶」と「臭豆腐」(豆腐の発酵食品)が大好きだという。マレーシアとタイの人はいずれも「麻辣鍋」を好む。そしておもしろいのは、タイとベトナムの人が「純萃喝」ブランドのミルクティーが大好きなことだという。