2025/05/05

Taiwan Today

観光

台湾の「魂」探るタイの女性作家、「第二の故郷」台湾を紹介

2019/04/19
現代と歴史、自然と都市が融合する台湾独特の魅力に「ハマった」タイ人作家、鄭盈盈さん(写真)が、フェイスブックや書籍を通じて台湾の街角の物語を詳しく紹介している。(中央社)
現代と歴史、自然と都市が融合する台湾独特の魅力に「ハマった」タイ人作家、鄭盈盈(Sarinee Cheng)さんが、フェイスブックや書籍を通じて台湾の街角の物語を詳しく紹介している。鄭盈盈さんはタイでは「Som-O」という名で知られている。2001年、米国に滞在していた鄭さんは台湾からやって来た男性と知り合った。そして2005年には結婚。台湾で暮らし始めたことで台湾と切っても切れない縁を結ぶことになったのである。
 
台湾に移り住むまで、鄭さんが台湾について聞いたことがあったのは超高層ビルの台北101(台湾北部・台北市)、そして観光地のサンムーンレイク(=日月潭、同中部・南投県)だけ。また、知っていたのも台湾の電子技術が有名であることだけだった。しかし、鄭さんは台湾での暮らしが長くなるにしたがって、台湾独特の美しさを徐々に発見していった。
 
鄭さんは、「台湾は現代と歴史、自然と都市が融合したところ。車に乗れば1時間もしないうちに山に入れる。台湾の人たちは大自然に親しみを感じていてバランスのとれた生活をしている」と話している。
 
鄭さんは2012年から執筆を始め、2014年と2016年に台湾に関するタイ語の旅行ガイドを出版した。1冊目は台湾旅行を全般的に紹介、2冊目はタイの若者たちを対象に、いかにして台湾で節約旅行を楽しむかを指導する内容だった。また、近年ネットメディアが台頭しているのに合わせ、鄭さんも2016年からはフェイスブック(Taiwan Guru)で、自身の見た台湾をリアルタイムでタイの人たちに紹介している。
 
3冊目は今年6月に出版予定。鄭さんはこの中で台湾におけるコーヒー文化と特色を備えたコーヒーショップを紹介する。鄭さんは、「自分はいわば『コーヒー中毒』だが、台湾にはお茶しかないと思っていた。でも意外なことに台湾の人たちもコーヒーを深く愛している。自分たちで焙煎したオリジナルのコーヒーを提供する店の数ではアジア一だ」と話す。
 
鄭さんはこの本のため、50を超えるコーヒーショップを訪問。中国語の能力にはまだ限りがあるが、無限の情熱で店主たちと語り合った。特に台湾北部・台北市新生南路にある「老樹咖啡」が印象的だったという。店主は70歳あまりの男性。1年のうち休むのは1日だけで毎日店に顔を出す。店の経営はすでに息子にまかせているが、それでも毎日様子を見ているのである。店主が恥ずかしがり屋であることに加え、言葉の壁もあり、鄭さんはこの店主と直接話すことが出来なかった。しかしその後、店主の息子が通訳してくれたことでわかった。店主の母親は看護師で、昔、経済的に生活が苦しかったにもかかわらず、コーヒーを淹れては家族全員に飲ませてくれた。このため店主にとってコーヒーは思い出であり、「命」なのだという。だから店主が毎日、店を訪れることは日々の生活に欠かせない儀式だったのだ。
 
鄭さんにとって、「老樹咖啡」の物語こそが台湾の人たちのスピリット。鄭さんは、「台湾の店には魂がある。台湾の人たちには情熱がある。自分のすることに対して情熱に満ちている」と語っている。こうした「魂」と「情熱」の存在を知った鄭さんは、店に隠された物語もタイの人たちに知ってもらいたいと思うようになった。鄭さんは、「だって台湾は私の故郷だから。紹介したいのは私の故郷のことなんだ」と話している。
 
鄭さんが次に知りたいと思っているのは台湾の人たちが情熱を注ぐ茶文化。チャンスがあればまた本を書いて、台湾のより多くの面をタイの人たちに紹介するつもりだという。
 
 

ランキング

新着