マレーシアにおけるムスリム（イスラム教徒）の人たちの台湾旅行に関するイメージを強化しようと、交通部観光局（日本の観光庁に相当）がこのほどマレーシアで人気の歌手で女優のAyda Jebatさんにプロモーションキャラクター（観光大使）を依頼した。Jebatさんはすでに台湾で台湾旅行のプロモーション映像を撮影済みで、来年にはマレーシアのムスリムの人たちに向けて「Salam Taiwan－台湾は皆さまを歓迎します」というメッセージを届けるという。
マレーシアは台湾の観光業にとってインバウンドの重要な市場で、2019年には延べ53万人が台湾にやって来た。東南アジアの国では最多であり、とりわけマレーシアの人口3,200万人の約6割を占めるムスリムの人たちを対象にした旅行のビジネスチャンスは台湾のインバウンド市場にとって大きな可能性を秘めている。このためそうした観光客の呼び込みは観光局にとってポストコロナ時代の重要な取り組みになっている。
マスターカードの資料によれば、2019年のムスリムの人々の旅行者数は世界全体で延べ1億6,000万人。2020年と2021年のコロナ禍を経て2023年には延べ1億4,000万人への回復が見込まれている。また、Z世代やミレニアル世代、女性のムスリムが最多で影響力を持つとされている。全世界のムスリム人口20億人のうち70％は40歳以下で、Z世代とミレニアル世代が50％を占める。またムスリム女性は成長速度が最も早いグループの一つで、世界全体でのムスリムの入国（入境）者数の約45％を占めるという。一方でマスターカードの2022年版グローバル・ムスリム・トラベル・インデックス（GMTI）で、台湾は「イスラム教組織を除いてムスリムにとって最も理想的な旅行先」の2位となっており、台湾ではすでにムスリムに非常にやさしい旅行環境でムスリムの人たちを受け入れる準備が整っていることを示している。
ムスリムの人たちの観光旅行という大きなビジネスチャンスをにらみ、ムスリムの女性たちをターゲットに攻勢をかけるため、観光局はコロナ後に向けて再びプロモーションキャラクターを設けることとし、インスタグラムで540万人を超えるフォロワーを持つマレーシアの歌手で女優のAyda Jebatさんに年間プロモーションキャラクターを依頼した。Jebatさんの歌う楽曲『Temberang』のプロモーションビデオはYoutubeのオフィシャルサイトで閲覧回数3,000万回を達成している。台湾観光のプロモーション映像ではその歌声も披露するという。
Jebatさんは2日から13日まで台湾に滞在し、各地の観光スポットを訪れたほか、台湾北部・台北市にあるイスラム教のモスク、清真寺で礼拝、さらにハラール認証を受けたレストランで様々なグルメを味わうなど、台湾のムスリムにフレンドリーな受け入れ環境を体験した。観光局国際組（＝部）の黄勢芳組長（＝部長）は清真寺を陣中見舞いに訪れ、台湾の特色あふれるフルーツ詰め合わせを差し入れて撮影をねぎらい、感謝した。
初めて台湾を訪れたJebatさんは台湾を絶賛、「台湾は予想以上に美しい」とし、最も驚いたこととしてわずか10日間の撮影で自然景観と都市の魅力、文化的ムードなど多元的な特色を体験出来たことを挙げた。台北市内にある超高層ビルの台北101、台湾中南部にある阿里山の壮麗な山々、ナイトマーケットで遊べる様々なゲーム、刺激的なテーマパークなどいずれも印象的だったという。また、清真寺やムスリムにやさしいレストランを訪れると、「必ず子どもを連れてまた台湾にやって来る」と話し、台湾は間違いなくムスリムにやさしい旅行先であることをファンたちに保証することを約束した。
観光局は、1人でも多くのムスリムの人たちに台湾の魅力を体験してもらえるよう、ムスリムの受け入れ環境をいっそう整備していく考え。台湾ではすでに336のレストラン、旅館、公共施設、観光スポットがムスリムを対象にしたサービス認証を取得している。観光局では今回撮影したプロモーション映像のプレミア上映会を来年1月にマレーシアで行い、「Salam Taiwan（台湾は皆さまを歓迎します）2023」を宣言するという。