100年の歴史を持つ嘉義市(台湾中南部)の国定古蹟「嘉義旧監獄」と日本の北海道網走市にある博物館網走監獄が20日、友好交流を促進するための協定をオンラインで締結した。嘉義市の黄敏恵市長、法務部の蔡清祥部長(法相)、嘉義監獄の典獄長(=刑務所長)の呉永杉氏、日本側から網走市の水谷洋一市長、網走監獄保存財団の北野清丸理事長、博物館網走監獄の今野久代副館長らが参加し、台湾と日本の2つの監獄(博物館)による歴史的な協定締結を見守るとともに、今後より交流を深められるよう期待を寄せた。
嘉義市の黄敏恵市長によると、周りを嘉義県に囲まれた嘉義市は、総面積わずか60平方キロメートルと決して大きくはない。しかし、市街地には日本統治時代から残るさまざまな文化財が保存されている。例えば、現在も使用されている在来線の駅舎や美術館、嘉義を訪れる人が必ず立ち寄る檜意森活村(Hinoki Village)などだ。中でも嘉義旧監獄は世界で唯一、日本統治時代からそのままの形で保存されている「ペンシルべニア・スタイル」の刑務所だ。日本統治時代の1921年に建てられ、1922年に供用を開始。1994年まで使われていた。刑務所としての役目は終えたが、近年は獄政博物館として生まれ変わり、新たな時代における新たな任務を見出し、次の100年に向けて歩みだしている。
法務部の蔡部長によると、今回の協定締結のきっかけとなったのは、今年2月19日に嘉義旧監獄で行われた「開放政府協作会議」だった。これは官民連携について話し合う会議で、市民から日本の網走監獄と友好協定を締結するのはどうかという提案があった。そこで法務部と外交部が交渉に当たり、ついに協定締結にこぎつけることが出来た。蔡部長は、「今年は嘉義旧監獄の供用100周年の節目に当たり、この友好協定を締結できたことの意義は非常に大きい」とした上で、今後双方が協定の枠組みの下で旧監獄の活性化や再利用の推進に取り組み、さらには台湾と日本の特色ある文化を結び合わせることで国際交流や観光を促進し、かつての矯正施設に新たな息吹をもたらすことを期待していると述べた。
網走監獄は北海道の道東、網走市に位置する日本最北端の刑務所。明治時代の日本で、最も過酷な刑務所と言われた。嘉義旧監獄と同様、「ペンシルべニア・スタイル」の建築様式が採用されている。