蘇貞昌行政院長(首相)は15日の閣議で衛生福利部(日本の厚労省に類似)による「現在の新型コロナウイルス感染状況及びその対応」報告を受け、各省庁に対して引き続き関連の防疫措置を徹底するよう指示した。蘇行政院長は、台湾では現在感染の拡大を抑え込みつつあり、一部の場所では防疫措置の適度な緩和が実現しているほか全国のワクチン接種率(一回目の接種を済ませた人の割合)も18%に達したとする一方、海外での感染状況は依然として厳しくコロナはまだ過去のものではないと指摘、現段階において政府は、「水際対策と市中感染防止の強化」、「ワクチン接種率の向上」、「制限緩和に合わせた適切な措置の策定」の三つの方向でコロナ対策を進めていくと説明した。
「水際対策と市中感染防止の強化」について蘇行政院長は、このところ海外からの持ち込みケースでデルタ株の感染者が見つかるようになっていることから、「入境3篩」を厳格に実施する必要性を強調した。「入境3篩」とは、入国時にPCR検査を1回、防疫旅館(防疫ホテル)や集中検疫所(=政府が用意する隔離施設)での隔離期間中に家庭用簡易検査キットによる検査を1回、さらに隔離期間満了時にPCR検査を1回行い、陰性を確認して初めて隔離を解除し台湾での自由な行動を認めること。蘇行政院長は、隔離期間中に潜在的な感染者を見つけ出してこそ、市中感染を防ぐための負担を大きく軽減できると述べた。
また蘇行政院長は「ワクチン接種率の向上」について、同日午後に日本政府が無償提供するアストラゼネカ製ワクチン100万回分近くが台湾に到着するほか、台湾が購入したアストラゼネカ製ワクチン55万回分ならびにモデルナ製ワクチン35万回分も合わせて200万回分に近いワクチンがほぼ同時期に台湾にやってくるとし、すでにある約700万回分を加えると900万回分近いワクチンがあることになると説明した。政府はすでに来年と再来年にかけて、モデルナの次世代型ワクチンを少なくとも3,000万回分追加で購入する計画を立てており、十分な量のワクチンを安定して確保出来るよう全力を尽くすという。
蘇行政院長は、現在ワクチンの入荷は安定し、予約接種のシステムもスムーズに稼働しており、16日からは全国各地で「第9類」(ハイリスク疾患、希少疾患、あるいは重大な傷病を患う18~64歳の患者)と「第10類」(50~64歳の成人)に分類される人へのワクチン接種が始まると説明。各自治体の努力により7月14日には全国のワクチン接種率が約18%になったと感謝した。蘇行政院長は、各自治体は今後全力で接種対象を広げていく時期に入るとし、「打ち終わったところから次のワクチンを届ける」方式でワクチンを適切に分配していく考えを示した。また接種に当たる人たちに対しては、より丁寧で効率よく接種を進めてくれるよう求め、7月末には接種率25%とする目標に向けて努力し、国民全体の免疫力を高めようと呼びかけた。
「制限緩和に合わせた適切な措置の策定」について蘇行政院長は、政府は警戒レベル3を26日まで延長しているが、感染の拡大が落ち着きつつあることから13日以降は一部の場所での防疫措置を適度に緩和しており、各自治体は感染対策の必要性を踏まえた上でそれぞれの場所に合わせて制限措置を調整できるようになっていると説明した。