台湾では80年前の抗日戦争の勝利を記念し、9月3日を「軍人節」(軍事の日)と定め、日々国土を守るために働く軍の関係者らに敬意を示し、ねぎらう日としている。また、毎年この日は台北市圓山にある国民革命忠烈祠で、国のために殉じた軍人など「革命烈士」を追悼する「忠烈殉職人員典礼」が行われ、正副総統が出席するのが慣例となっている。
頼清徳総統と蕭美琴副総統は3日午前10時から行われた式典に出席。頼清徳総統が「主祭」(主催者)を、蕭美琴副総統、行政院の卓栄泰院長(首相)、立法院の韓国瑜院長(国会議長)、司法院の謝銘洋代理院長、考試院の周宏憲院長、監察院の李鴻鈞副院長が「陪祭」を務めた。また、総統府の潘孟安秘書長や国家安全会議の呉釗燮秘書長が同行した。頼総統は国歌の演奏後、英霊に対して献花を行い、「祭文」を読み上げたあと、参加者全員と一緒に「三鞠躬礼」と呼ばれる深いお辞儀を3回繰り返した。なお、この式典は春と秋の年に2回開催されており、春は「青年節」に当たる3月29日、秋は「軍人節」に当たる9月3日となっている。
頼総統はその後、自身のSNS(フェイスブック)で国民に向けて以下のメッセージを伝えた。
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私はきょう、蕭美琴副総統や五院(行政院・立法院・司法院・考試院・監察院)の代表とともに、国のために命を捧げた陸海空軍の英霊に敬意を表するため、忠烈祠を訪れました。
台湾の人々は平和を熱愛しています。台湾は銃を掲げて平和を記念したりしません。私たちは亡くなった烈士たちを追悼し、歴史の教訓を胸に刻み、自由と民主主義への信念を堅く守ります。私たちは、手にした武器が、家族や国を守るためのものであって、侵略や拡張のためではないと信じています。
今年は第二次世界大戦の終結から80年の節目の年です。80年前の昨日(1945年9月2日)、わが国の陸軍上将である徐永昌氏は、他の8つの連合国と共に、日本の降伏文書に署名し、「団結すれば必ず勝ち、侵略すれば必ず敗れる」という血と涙の教訓を見届けました。
喜ばしいことに、かつての枢軸国(日本、ドイツ、イタリアを中心とした国々のこと)はいずれも民主主義国家となりました。自由と民主主義を守ると同時に、市場経済を採用し、人権や法の支配を重んじ、繁栄と平和を実現するなど、いまや国際社会から広く尊敬されています。
私は心から願っています。かつて侵略の苦しみを味わった国々が、共に平和を守り、自由と民主主義を追求し、安定と繁栄の礎となることを。
ファシズムの定義は広く、極端な民族主義や幻想的な大国復興の追求、国内に対する過度な言論統制、社会の多様性に対する抑圧、秘密警察の構築、強い指導者に対する顕著な個人崇拝、スローガン文化などが含まれます。
世界中の平和を願い、第二次世界大戦の教訓を心に刻む人々は、このような体制が再び現れることのないよう強く望んでいます。もし、かつて侵略の被害を受けた国が、人類文明の進化を無視し、再び同じ道を歩むとしたら、それは世界にとって大変残念なことです。
「軍が市民を愛し、市民が軍を敬う」──これは台湾にとって大切な資産です。今年の軍人節は2万軒以上の店舗や事業者が「軍人割引」を提供するなど、人々の国軍に対する強い支持が感じられます。軍で働く皆さん。引き続き訓練と任務の遂行に励み、我々の国家をしっかりと守ってください。私は信じています。全ての国民が心をひとつにすれば、「実力によって真の平和を実現する」という目標は、きっと達成できることでしょう。