『平埔原住民族群身分法』が今月23日、総統によって公布・施行された。「平埔族」とは平地に住む先住民族のことで、「平埔族」の身分認定を法制化した『平埔原住民族群身分法』は今月17日に立法院(国会)で可決されていた。台湾で先住民族行政を担当する原住民族委員会は28日、プレスリリースを発表し、「立法院の与野党すべての議員に感謝する。平埔先住民族の身分認定に関する法制度が正式に始動した。原住民族委員会は、速やかに関係者が(先住民族としての)身分登録を行えるよう取り組む」と伝えた。
『平埔原住民族群身分法』によると、「平埔族」の身分登録を行うためには2段階の作業が必要だ。まずは、現在一概に「平埔族」と称される各グループが、それぞれ原住民族委員会に対して「先住民族としての認定」を申請する。審議委員会による審査の結果、行政院(内閣)から先住民族としての公認を受けると、次の段階として、その先住民族に属する個人が戸政事務所(戸籍窓口)に出向いて平埔先住民族としての身分登録を行うことができる。
原住民族委員会によると、「平埔族」と称される西拉雅族(シラヤ族)、噶哈巫族、巴宰族、道卡斯族、大武壠族、拍瀑拉族/巴布拉族、馬卡道族、巴布薩族、凱達格蘭族などがすでに認定申請を行っている。進捗状況はそれぞれ異なるが、そのうちシラヤ族に関して近く審議委員会が設置され、申請団体に対して民族構成員の身分認定に関する資料の補正を求めることになっている。資料補正後、規定に基づき30日間の意見公募手続(パブリックコメント)を実施。手続きが順調に進めばパブリックコメント終了から2か月以内に審査が終わり、行政院に対して先住民族としての公認を申請することになる。
原住民族委員会は、『平埔原住民族群身分法』の公布は台湾の先住民族政策の発展における重要なマイルストーンであるとした上で、内政部および地方自治体などと連携を図り、先住民族の身分認定と文化保障の権利を実践していくことを約束している。
なお、台湾では現在、アミ族、パイワン族、タイヤル族、ブヌン族、プユマ族、ルカイ族、ツォウ族、サイシャット族、タオ族、サオ族、クバラン族(カヴァラン族)、タロコ族、サキザヤ族、セデック族、カナカナブ族、サアロア族の合計16の民族が承認されている。