「世界人権デー」の10日、行政院は国連の「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(女子差別撤廃条約、CEDAW)に合わせた中華民国(台湾)の国家報告、CEDAW第5次国家報告を発表した。来年7月にも海外の専門家らを招き、報告の審査を受ける。
「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(CEDAW)は1979年に国連総会で採択され、1981年に発効した。この条約は、男女は経済的、社会的、文化的、市民的および政治的なあらゆる権利を平等に享受すると明記。その締約国は、立法を含むあらゆる適切な措置を講じ、女性に対する差別を撤廃し、教育、雇用、医療、家庭、政治、法律、社会、経済などの各分野で男女の平等を確保する義務を負うものとしている。
台湾は2009年以降、4年ごとにCEDAW国家報告を提出しており、2011年には「CEDAW施行法」を制定し、CEDAWを国内法化した。行政院性別平等処は10日、行政院の林明昕政務委員(無任所大臣)がこのほど主催した「行政委員性別平等会第34次委員会議会前協商会議」にてCEDAW第5次国家報告を承認し、対外的に発表したことを明らかにした。
第5次国家報告では2021年から2024年までの期間の台湾における女性差別撤廃、女性の人権向上、ジェンダー平等の促進に関する重要な成果を以下のようにまとめた。
■2023年の経済協力開発機構(OECD)社会制度・ジェンダー指数(Social Institutions and Gender Index, SIGI)で、台湾は世界6位、アジア第1位
■ジェンダー平等の実現はアジアトップレベル
■同性婚合法化後の2023年、その権利の保障を国際結婚・養子縁組に拡大。同性婚の権利をより完全なものに
■2024年の立法委員(国会議員)に占める女性比率は41.6%でアジア最高レベル
性別平等処は、その他のCEDAW関連の具体的進展の成果として以下を挙げている。
■女性の政策決定への参与率向上
■「台湾少子化対策計画第2期(2021~2024年)」の実施
■「0歳~6歳国家一起養」(0~6歳児の子育て支援政策)の提供
■家庭と仕事の両立を支える職場環境作り
■性別に関する固定観念の解消およびジェンダー平等教育の推進
■女性の健康および出産・子育て支援制度の整備
■「跟蹤騷擾防制法」(ストーカー規制法)の制定
■ジェンダー平等に関する3つの法律、デジタル性暴力防止に関する4つの法律、及び「家庭暴力防治法」(家庭内暴力防止法)の改正による全方位的な性別暴力防止体制の強化
行政院性別平等処によれば、台湾は国連加盟国ではないものの、国連CEDAW委員会の報告審査手順を参考にして国家報告の審査会議を開き、審査の質を確保している。2026年7月には海外から経験豊富な審査の専門家5名を台湾に招き、台湾のCEDAW第5次国家報告の審査を依頼し、専門的な助言を得ることになっている。