台湾の観光産業の発展に向け、行政院では複数回にわたり「観光産業振興諮詢会議」(諮問会議)を開催し、行政院の鄭麗君副院長(副首相)や馬永成政務委員(無任所大臣)らとともに、これまで蓄積してきた経験を具体的な政策へと結び付ける方策を協議してきた。また、交通部が中心となって「台湾観光研訓院」の運営計画や寄付に関する定款を策定し、2025年12月29日に「籌備処」(準備事務所)を設立。さらに交通部観光署が「観光発展基金」から3,000万元(約1.5億円)を拠出し、10の民間企業及び団体が計2,000万元(約1億円)を寄付したことで、「台湾観光研訓院」の発足が実現した。
卓院長によれば、「台湾観光研訓院」は公設財団法人として設立される。官民連携の理念を具体化するものであり、台湾の観光行政の制度化・専門化・先進化を進めるとともに、組織基盤の強化、人材育成、観光産業の高度化に向けた長期戦略を本格的に推進することになる。卓院長は、財団法人工業技術研究院(ITRI)が台湾のハイテク産業の成長をけん引し、TSMC(台湾積体電路製造)が世界で躍進するための基盤を築いたように、「台湾観光研訓院」も観光産業におけるITRIのような存在となり、台湾の観光産業が年間訪台旅客延べ1,000万人という目標を達成できるよう期待を寄せた。
なお、2025年の訪台外国人旅客数は延べ857万4,000人で、前年(2024年)比9%増加し、政府が目標として掲げる延べ1,000万人に近づいてきた。内訳は東北アジア(日本・韓国)が約3割、「新南向政策」対象国(南アジア、東南アジア、ニュージーランド、オーストラリアなど合計18か国)が約3割、中国・香港・マカオが約2割、欧米・オセアニアが約2割を占めており、台湾の観光市場は従来の単一市場依存から脱却し、多様化が進んでいる。さらに、国内旅行者数はコロナ禍で延べ1億6,000万人まで落ち込んだものの、2025年には延べ2億4,000万人まで回復し、市場規模も16%増の約5,500億元(約2.7億円)に達している。
また、国連世界観光機関(UN Tourism)が今年1月に公表した統計によると、台湾の2024年の国際観光収入は世界36位となり、前年から3順位上昇した。卓院長はこれについて、台湾の観光競争力が着実に回復していることを示す結果であるとともに、観光評価の指標が単なる「旅行者数」から、「1回の旅行でどれだけ消費が行われたか」へと重心が移りつつあると指摘した。そのため、旅行者の滞在都市や消費額、消費内容などを詳細に分析し、今後の観光政策に反映させることで、観光産業に実質的な利益をもたらし、「均衡台湾」(地域間のバランスの取れた発展)の実現につなげたいとの考えを示した。
卓院長はこの式典で、「台湾観光研訓院」の創設基金の寄与に参加した11名に感謝状を贈呈したほか、「台湾観光研訓院」の理事15名と監事5名に委嘱状を授与した。