行政院(=内閣)の蘇貞昌院長(=首相)は20日、台湾南部・屏東県を訪れ、農業委員会(日本の農林水産省に相当)が主催した「感謝有您猪事順興」と題するイベントに参加し、国際獣疫事務局(OIE)によって台湾(台湾本島、離島の澎湖及び馬祖。但し、金門を除く)の口蹄疫ステータスが「ワクチン非接種清浄地域」に認定されたことを祝った。
蘇院長はこのイベントで、「今月18日に開かれた院会(=閣議)で農業委員会の陳吉仲主任委員が1997年の口蹄疫発生以来、自身が経験してきた苦難の日々を振り返り、涙で声を詰まらせながら報告を行ったときは、自分も感情が高ぶって言葉が続かなかった」、「1997年以降の24年間で、当時2万5000戸あった養豚場や養豚業者は7,000戸余りに減ってしまった」と述べた。
蘇院長は、「今日は全国各地から家畜農家が集まった。皆当時の苦しみを覚えていることだろう。口蹄疫のワクチン非接種を成功させなければ、台湾産豚肉は海外に輸出できない。(「ワクチン非接種清浄地域」の認定は)蔡英文総統の指示と支援、それに各省庁、学術界、獣医、家畜伝染病予防施設、それにこの取り組みに参加したすべての人々の協力のたまものだ。家畜伝染病の予防に取り組んでくれた農業委員会の職員、地方自治体の職員、それにすべての畜産農家、関連の予算を組んでくれた立法院(=国会)などに感謝したい」と述べた。
蘇院長は続けて、「家畜農家の皆さんは、ブタがこの伝染病に感染した場合、互いにウイルスをまき散らすこと、それは台湾をつぶしてしまうほどの影響があることを知っている。この件は我々に、我々が一つの国であり、誰ひとりそこから取り残されてはならないことを意識させた。いまアジア各地で流行しているアフリカ豚コレラについても、侵入をしっかり防がなければ台湾の産業に大きな衝撃をもたらすことになる。これは、世界が新型コロナウイルスを封じ込められずにいる中で、台湾がこれほどまでに厳格に取り組み、新型コロナウイルスの封じ込めに成功した理由の一つでもある」と語った。
さらに「口蹄疫のステータスが清浄地域になり、これから台湾の目の前には広大な市場が待ちうけることになる。政府はこれからも口蹄疫対策の手を緩めない。蔡総統も農業委員会及び関連の行政チームに対し、官民一体となって協力し、台湾産豚肉のさらなる品質向上に努めること、台湾の牧畜業が新たな時代に適応できるようにすることなどを求めている。環境保護を徹底し、ワンストップ型の良好な輸送・マーケティングを実践し、さらには海外市場を開拓して海外からの称賛を得よう」と呼びかけた。
このイベントでは、口蹄疫対策に取り組んだ政府関係者の代表として、屏東県動物防疫所の蕭春輝課長が壇上に上がった。1997年の口蹄疫発生時、蕭課長は動物防疫所で働き始めてまだ3か月程度だった。蕭課長は伝染病予防のための物資やワクチンの分配を担当した。当時職員たちが口蹄疫に感染したブタを殺処分し、ワクチンを接種していた苦労をいまでもはっきり覚えている。そのとき、各自治体の防疫当局、養豚業者や獣医の同業者組合などが農業委員会に全面協力し、養豚業者たちも真剣に消毒活動を行い、皆が一丸となって努力してきた。そして一歩ずつ任務を全うし、こんにちようやく「ワクチン非接種清浄地域」のステータスを手に入れることができた。蕭春輝課長はこのイベントで「口蹄疫予防の仕事に参与出来たことを誇りに思う。今後も家畜伝染病の予防に力を入れ、台湾の養豚産業を守りたい」と胸を張った。
また、養豚業者を代表して壇上に上がった屏東県の方志源さんは、「『口蹄疫』の三文字は、家畜農家の心に大きなトラウマを残した。当時自分は社会に出て間もないころで、養豚業界は前途ある事業だと言われていた。このため借金して豚舎を建てた。しかし、口蹄疫の発生により豚肉の価格は暴落し、泣くに泣けなかった。幸いにも政府が提供する低金利ローンで救済を受け、一歩ずつ這い上がってきた。政府の支援もあり、家畜農家も協力したため、皆で口蹄疫に立ち向かい、そしてようやく清浄地域のステータスを手に入れることができた。これからは海外市場を開拓し、さらに高みを目指していきたい」と述べた。方志源さんはまた、「口蹄疫との戦いの過程は苦しく、長いものだったが、それによって美しい成果を得ることが出来た!」と喜び、最後に国際獣疫事務局(OIE)に対して「台湾は成功した!台湾はやり遂げた。私は台湾のことを誇りに思う!」と叫んだ。