WHO(世界保健機関)の最高意思決定機関である第76回世界保健総会(WHA)が21日から、スイス・ジュネーブの国連欧州本部があるパレ・デ・ナシオンで開催されている。台湾はWHO非加盟国ながら、オブザーバーの身分でのWHA参加を目指していた。しかし、「台湾をオーブザーバーとしてWHAに招く」ことをWHA全体会議の議事日程に加えるべきだという要求は、今年も中国の反対により退けられた。これと同時に22日、台湾の国家通信社である中央通訊社(CAN)の記者2名が、事前に申請していたWHAの取材許可書の発行を国連欧州本部によって拒否されていたことが明らかになった。国連欧州本部からは「中国の圧力を受けたもの」と明確な説明があったという。
中華民国(台湾)外交部は23日にニュースリリースを発表し、これを強く非難した。ニュースリリースの概要は以下のとおり。
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国連は長期にわたり、台湾の記者が国連の会場内に入り、国連関連の会議や活動を取材することを拒んできた。これは国連憲章が定める普遍的価値、公平・正義の原則、及び「世界人権宣言」が保障する「すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む」という基本的人権に明らかに反するものである。国連欧州本部は今回、中国の圧力に屈し、公平な立場を忘れ、わが国のメディアによるWHAの取材を拒否した。外交部はこれに強い不満を示す。同時に、背後から国連に圧力を掛けた中国政府の行為は、口では台湾の人々を守ると言いながら、実際は台湾の人々を傷つけるもので、外交部はこれを強く非難する。
外交部は国連に対し、わが国のメディアにも国連の会議や活動を取材する基本的権利があることを直視するよう改めて呼びかける。自分の立場を見失わず、特定の国からの政治的圧力に屈することがないように。速やかに方針を改め、わが国のメディアに対する差別的待遇を改善すべきである。
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同じ23日、台湾に派遣されている外国報道機関の特派員やジャーナリストによって運営される台湾外国特派員協会(=外国人記者クラブ、TFCC)も、国連を非難する共同声明を発表した。
台湾外国特派員協会は、中央社の記者2名がWHAの会議を取材する予定だったが、手配していた取材許可証の発行を拒否されたこと、国連のスタッフからその原因について中国の圧力があったことを明確に説明されたことを指摘。記者が情報を取得したりイベントに参加したりする権利は、記者本人の国籍によって決められるものではなく、それが国連あるいはその周辺組織など、世界規模の国際組織であっても例外ではないと主張している。
このほか、国境なき記者団(RSF)も23日に声明を発表し、国連に対して「国籍(旅券)によって取材をする権利を決定してはならない」と訴えた。RSFは、国連は「あらゆる記者及びメディア」が国連体系の活動を取材できるようにすべきであり、その記者あるいはメディアの地域的背景によって取材をする権利が制限されるべきではないと主張している。