戦争と空襲に苦しむウクライナの人々を支援するため、駐ポーランド台北代表処の呉尚年代表が16日、中華民国(台湾)政府を代表してウクライナ・ブチャ市のアナトリー・フェドルク(Anatolii Fedoruk)市長と復興支援に関する協定に署名した。台湾は60万米ドルを寄付して同市の防空避難所の建設と児童のための体育学校の再建に協力する。フェドルク市長は首都ワルシャワまで出向いて署名式に出席、駐ポーランド台北代表処はワルシャワに避難しているブチャ市民も式典に招き、署名に立ち会ってもらった。
戦争が始まってからロシアはウクライナへの空襲を続けており、ウクライナの人々は身体的、心理的に大きなダメージを負っている。このため中華民国(台湾)政府はブチャ市が現在極めて必要としている防空避難所の建設を助けると共に、空襲によって破損した児童の体育学校を修繕して同市の子どもや青少年に学習やスポーツの場を提供する。
駐ポーランド台北代表処の呉代表は署名式であいさつし、今回の支援はブチャ市民がロシアの侵略によって受けているストレスの緩和を助けるものだと説明した。呉代表は、台湾の人々は同じように全体主義政権の脅威にさらされているため、ウクライナの人々の境遇を自らのことのように感じているとした上で、ロシアの侵略行為は「紛争は平和的に解決すべき」とする国連憲章の基本原則に違反しており、台湾は今後も民主主義国と連携してウクライナの再建に協力していくと語った。
ブチャ市のフェドルク市長は中華民国(台湾)政府のサポートと援助に感謝、台湾とウクライナは遠く離れているが自由民主の堅持という点で結ばれていると指摘、困難に遭う中で「団結」は文字にとどまらず、台湾は行動でそれを体現したと評価した。そして、台湾からの援助計画はブチャ市民の生命の安全を保障し、子どもたちの未来により大きな可能性をもたらすものだと感謝、双方による協力の成果はウクライナの揺るがぬ精神と台湾からの援助の象徴になるだろうと期待した。
外交部(日本の外務省に相当)によると、台湾は昨年4月、ブチャ市における防空避難所11カ所と幼稚園1カ所、住宅9軒の修繕に協力。ウクライナの1,000世帯以上がそれによる恩恵を受けた。外交部は、「台湾はウクライナと民主、自由、人権の普遍的価値を共有しており、これからもウクライナ人民とともにある姿勢は揺らぐことなく、ウクライナの再建に協力していく」としている。