IPACは昨年7月に台北で年次総会を開催し、各国の国会議員からなる史上最大規模の訪問団を組織して台湾を訪れた。また、中国による国連総会第2758号決議曲解に反発するため、各国の議会が決議文を作成する際の「範例」を採択し、台湾が中国の「法律戦」に対抗できるようにした。こうしたIPACの正義に基づく行動により、英国、オランダ、チェコなどの議会や欧州議会が相次いで台湾を支持する決議や動議を採択したほか、多くの国の行政部門も台湾を支持する立場を表明した。頼総統はこうしたことを踏まえ、「今後さらに多くの国々がこれに呼応することを期待している」と述べた。
IPACは今年に入ってからも具体的な行動で台湾への支持を表明している。例えば今年4月には、中国が台湾周辺での軍事演習を行ったことについて懸念を表明した。また、昨年3月にチェコを訪問した蕭美琴副総統(当時は次期副総統の身分)が乗った車両が中国の外交官に尾行され、危うく衝突事故を起こす可能性があったことについても非難した。さらに、デンマークで開催された「コペンハーゲン民主主義サミット」では、台湾の政府高官の代表団が各国の議員と交流するためのイベントを開催した。頼総統はこうしたことに謝意を示した。
頼総統はその上で、中国が近年台湾や周辺国に対して言論や軍事力による威嚇を繰り返し、地域の平和と安定を深刻に脅かしていると指摘。中国やロシアなどの覇権主義国家が結託する傾向にある中で、民主主義国家はあらゆる分野で協力し、平和、民主主義、自由を守っていかなければならないと訴えた。
頼総統はさらに、台湾が今後も防衛力を強化し、民主主義のパートナー国と協力して抑止力を発揮することを約束。台湾の来年度の防衛予算(NATOの基準による)を対GDP比3.32%に引き上げるほか、2030年にはこれを5%に引き上げることを目指し、地域の平和と安定に貢献していきたいと述べた。
これに対してIPAC訪問団の団長を務める英国のイアン・ダンカン・スミス下院議員(保守党)は、今回の訪台で多くの成果を得たことはIPACが今後1年間の発展方針を策定するうえで大いに役立つだろうと述べた。
スミス下院議員はまた、今年11月のIPAC年次総会はさらに規模を拡大してベルギーで開催すること、そこで現在世界が直面する深刻な課題について議論することなどを明らかにした。スミス下院議員は、とりわけウクライナ情勢は最も明確な事例だとし、ロシアのウクライナ侵攻とその蛮行はイラン、北朝鮮、中国の支持を受けており、これは覇権主義国家の結集を意味すると述べた。また、これは多くの方面に影響を及ぼすだけでなく、台湾の将来の境遇にも影響すると指摘。このためIPACは、各国政府にこの問題に関心を持つよう呼びかけ、覇権主義国家が同様の行動をとるのを阻止する必要があると述べた。
スミス下院議員は、IPACには世界53カ国の超党派議員が参加し、左派・右派の政党を問わず一致団結して中国の専制政権がもたらす脅威に立ち向かっていると強調。そして、自由を愛するすべての国が協力し、自由と民主主義が現在直面している課題を直視し、そして台湾の自由と民主主義を守っていけるよう願っていると述べた。