一行は29日正午前、専用機で台北松山空港に到着。午後は総統府へ赴き、頼清徳総統を表敬訪問した。頼総統は、中華民国台湾政府及び全国民を代表してウィッカー議員とフィッシャー議員の訪台を熱烈に歓迎すると述べた。頼総統はまた、今後も防衛能力を強化し、台湾海峡の平和と安定を守る決意を示すとともに、来年度の防衛予算をGDPの3%以上に引き上げること、これは非対称戦略の強化を基本としており、米国からの武器・装備の調達や国防自主(軍用機・艦艇等の国産化)が目的だと指摘。今後は、軍用機・艦艇等の計画・設計・生産・製造の各分野に至るまで、米国と協力できるよう期待しており、双方の国防協力をさらに緊密に結びつけたいと述べた。
頼総統は歓迎の証(あかし)として、一行に空軍F16戦闘機の飛行隊が着用するジャケットや、国産ウィスキーの代表である「KAVALAN(噶瑪蘭)」、それに台湾土産の定番であるパイナップルケーキなどを一行に贈った。
29日夜は外交部の陳明祺政務次長(=副大臣)が晩餐会を主催し、一行を歓待した。ウィッカー議員は台湾と米国の友好が揺るぎなく、末永いものであることを強調し、台湾が経済大国であるだけでなく、アジアにおける民主主義と自由の灯台であることを称賛した。フィッシャー議員も、今回の訪問が台米双方の交流と協力をさらに深化させることになるだろうと述べ、民主主義、自由、そして台米友好に敬意を表して乾杯した。
一行は30日、立法院(国会)や国防部を訪問。最後は台北賓館で記者会見を開いたあと、午後3時40分ごろ専用機で台湾を離れた。
立法院では韓国瑜院長(国会議長)が、江啓臣副院長、国民党所属の立法委員(国会議員)である陳永康、徐巧芯、民進党所属の陳冠廷、民衆党所属の林憶君らとともに朝食会を主催し、一行をもてなした。韓国瑜院長は、国防や外交分野で与野党の意見には若干の対立はあるものの、折衝を重ねた結果、現在は政府の国防外交と台米のパートナーシップを全力で支持するという党派を超えたコンセンサスが形成されていること、来年度の台湾の防衛予算をGDPの3%以上に引き上げ、将来的にはこれをNATO加盟国波みの5%に引き上げる方向で努力していくことを支持していると明言した。また、国防部では顧立雄部長(防衛相)が、戦略企画司の黄文啓司長(中将)、情報参謀次長室の朱惠民助理次長(少将)などとともに一行と会談を行った。
その後、ウィッカー議員が台北賓館で行った記者会見には、外交部の陳明祺政務次長(=副大臣)と米国在台協会(AIT)台北事務所のレイモンド・グリーン所長も同席した。ウィッカー議員は会見で、今回の訪問は非常に成果が大きく、行く先々で温かく迎えられたことに感謝した。また、初日には頼清徳総統と幅広い議題について意見交換を行ったほか、軍の関係者や行政機関とも交流を持ったと述べた。そして、今回の訪台の目的は単なる現状の理解や意見の聴取にとどまらず、「これは個別且つ自由な国家であり(This country is separate and free)、当然のように自分のことを自分で決定することができるのだ」という米国の台湾に対する力強い友好のメッセージを伝えることだと強調した。そして、その理念は「台湾関係法」および「六つの保証」によって支持されているとも述べた。
記者から、今回の訪問でどのようなメッセージをアメリカに持ち帰るのと訪ねられたウィッカー議員は、「米台関係は今後も一貫して良い方向に発展し続けるだろう」というメッセージを持ち帰るとし、台湾におけるあらゆる意思決定は、その主権を有する民主国家とそのリーダーによってなされるべきだと強調した。
また、関税交渉に関してウィッカー議員は、「関税交渉は世界中で行われている。米国としては優れた米国の製品が世界中に輸出されることを歓迎しており、それが米台の防衛協力や友好に影響を与えることは決してない」と明言した。