ICAO加盟を切望する台湾の立場を説明する交通部民用航空局の林俊良副局長。(写真:外交部)
カナダ自由党に所属し、親台湾派議員連盟「カナダ台湾国会議員友好協会」の会長を務めるジュディ・スグロ議員は、中国が今年7月、台湾の民間航空当局と事前協議を行わずに、台湾海峡の中間線付近に設定している航路「M503」の支線である航路「W121」の運用を一方的に開始したことを批判し、「これはICAOの規則に違反しており、混雑が悪化してる空域に、航空安全上の危険をもたらすものだ」と述べた。スグロ議員はまた、中国の戦闘機が2023年、国連の任務を受けたカナダの偵察機に対して、その進行を妨害するという危険な行為を行ったことにも言及し、「北京当局による空中での威圧行為は、すべての国に重大な影響を与えうる」と警鐘を鳴らした。その上で、台湾はカナダと民主主義の価値観を共有し、経済関係においても最適なパートナーであるとして、カナダは今後も台湾のICAOおよびその他の国際組織への有意義な参加を支持していくと約束。「なぜなら台湾海峡の空域は極めて重要であり、台湾を排除すべきではないからだ」と訴えた。
カナダ保守党に所属し、シャドウ・キャビネットの民主改革大臣であるマイケル・クーパー議員は、台湾が今回のICAO年次総会からも排除されたことは、「北京当局によるいじめによるもの」と非難。その理由として台湾の空域は世界でも特に繁忙を極め、複雑で、国際的にも重要なハブであること、世界第11位の規模を誇る航空市場で、年間数千万人の旅客と大量の貨物が通過していることを挙げ、「ICAOが台湾を排除するのは全く道理に合わない。このような軽率な行為は、世界の空の安全に重大なほころびをもたらすものであり、ICAOの使命を笑いものにするものだ」と指摘。カナダ政府は台湾がICAOを含む多国間組織やメカニズムに有意義な参加を果たせるよう明確に支持すべきであり、ICAOは北京の独裁政権に迎合するのをやめ、空の安全を最優先に考えて、台湾を年次総会に招請すべきだと強調した。
台湾の曽厚仁駐カナダ代表(大使に相当)は、スグロ議員やクーパー議員の発言に感謝した上で、中国が近年、台湾海峡周辺で強圧的な行動を繰り返し、地域の安定を脅かしていることを指摘した。具体的には、航路「M503」の変更を一方的に発表したこと、航路「W121」、「W122」、「W123」の運用を一方的に開始したことなどを挙げた。また、2022年8月以降、中国が台湾海峡周辺で少なくとも4回の大規模軍事演習を行ったが、いずれも「7日以上前には通知しなければならない」というICAOの規定を無視しており、この地域を飛行する航空機と乗客に深刻なリスクをもたらしたことを訴えた。曽厚仁代表はまた、中国が自身の政治的立場を国際社会に押し付け、情報操作を行っていることを非難。各国に対して、中国の政治的操作が国際航空安全よりも優先されることのないよう、台湾のICAO加盟を支持し、台湾が「安全で開かれた空」のために貢献できるよう支援して欲しいと呼びかけた。
交通部民用航空局の林俊良副局長は、台湾が管轄する台北FIR(台北飛行情報区)が東アジアの航空交通の要衝であることを強調し、「台湾がICAOの年次総会や各種のテクニカルミーティング、専門研修などに参加できず、ICAOとの協調・連携が困難になっていることは、航空安全における情報の断絶を引き起こし、地域の航空安全の維持に不利な状況をもたらしている」と述べ、ICAOに対して、台湾を国際民間航空ネットワークに取り込むことの必要性を真剣に受け止めるよう呼びかけた。