頼総統と垂氏が総統府内で会うのは昨年5月、垂氏が蔡英文総統(当時)から台日関係への貢献が認められて「大綬景星勳章」を授与されて以来だ。頼総統は当時を振り返り、「台湾の住民を代表して、改めて深く感謝申し上げる」と述べた。
頼総統は続いて、最新の世論調査で、現在の台湾と日本の関係について双方の住民の70%以上が「良好である」と認識していると指摘。これは垂氏が外務省で長年台日関係の発展に取り組んできたことと深く関連しているとして、垂氏が退官後も引き続き両岸問題に関心を寄せ、その影響力を発揮し続け、台日交流の友好の基盤をより強固なものにしていることに感謝した。
頼総統はまた、台湾が「社会全体の防衛レジリエンス」の構築に力を入れていることについても説明。これは国防、民生、民主主義、防災の4つの分野で実力を向上させることであり、その一環としてまず来年度の防衛費をNATO基準でGDPの3.32%に引き上げ、2030年にはこれを5%まで引き上げることで、自己防衛能力を強化していきたいと伝えた。さらには「日本との交流を深め、安全保障上の問題において一層強力を深めていきたい」と期待を寄せた。
さらには、台湾と日本が世界のハイテク産業のサプライチェーン(供給網)において重要な役割を果たしていることにも言及。台湾と日本が今後さらに緊密なパートナーシップを構築することで、人工知能(AI)、新エネルギー、ドローンなどの重要な分野で、信頼性と強靭性を備えた「民主主義による非レッド・サプライチェーン」を作り上げたいと述べた。
これに対して垂氏は、日本の石破茂首相が辞任を表明し、現在自民党の総裁選挙が行われているが、誰が新たな自民党総裁あるいは日本の首相になろうとも、日本の対台湾及び対中国政策は変わらず、引き続き台日関係を推進していくことになるだろうと語った。
垂氏はまた、第二次世界大戦が終わって今年で80年であることに触れ、日本は反省すべき点は反省しなければならないが、戦後平和を愛する道を歩んできたおかげで、現在では台湾を含む国際社会から支持及び尊敬を得ていると述べた。一方で、「残念なことに中国共産党はこの年を利用して、一連の抗日戦争勝利80周年のイベントを行い、共産党の正統性を強化しようとしている」と指摘した。
垂氏はさらに、頼総統が今年8月15日、自身のFacebookに投稿した「三叉山事件」に関する記述は「日本人を感動させた」とし、歴史を学ぶことは憎しみを育むためではなく、未来に目を向けるためであり、自分は頼総統の文章から多くのことを学んだと語った。