中国の脅威
林部長は、中国による脅威がエスカレートしていることを指摘。これは軍事的威圧、グレーゾーンのかく乱行為、経済的威圧や認知戦など多方面に及ぶが、こうした行為の影響は周辺国にまで及び、地域全体の平和と安定に深刻な懸念をもたらしていると強調した。また、こうした中で台湾の政府はこれまでにない強い決意を示すため、史上最高額の防衛費を計上して軍事力の強化を図ると同時に、2024年には初めて「城鎮靭性演習」(都市の強靭性演習)」を実施し、社会全体の防衛レジリエンスの向上を図ったことを説明。また、米国による台湾への継続的な武器売却は、台湾の防衛能力を直接的に高めると同時に、米国の雇用と産業発展の促進にもつながり、台米の安全保障協力が相互利益をもたらすウィンウィンの関係を作っていることを強調した。
台米経済協力
林部長はまた、台湾と米国の経済協力がかつてないほど深く広範囲にわたるものとなっているとし、現在米国は台湾にとって第二の貿易相手国であり、台湾は米国にとって第七の貿易相手国だと説明した。また、2023年に台湾から米国への直接・間接投資は台湾の対外投資全体の40%を占め、米国が台湾にとって最大の投資先となったことを指摘し、台湾がハイテク製造や精密工業などの分野で持つ核心的優位性が米国の再工業化政策を支える重要な力となり、ひいては両国の国民により多くの雇用機会と経済的繁栄をもたらし、良好な循環を生み出す戦略的パートナーシップが形成されていると述べた。
科学技術分野での協力
林部長はさらに、科学技術分野の協力が台米関係の発展における重要な推進力となっていることにも言及した。頼清徳総統が提唱する「五大信頼産業」の中でも人工知能(AI)は中核的位置を占めているが、台湾の最先端半導体の製造技術は、米国のAI産業の発展を推進するのに必要不可欠な力を提供している。このため林部長は、「台湾の最先端半導体の製造技術と米国の量子コンピューティングの革新は完全な補完関係にあり、最先端の科学技術分野での双方の深い統合が、さらに画期的な応用の誕生を促すことになるだろう」と強調。林部長はまた、台湾は、AI分野の競争力強化に向けた米国の「AI行動計画(AIアクションプラン)」に全面的に参加する準備が整っているとして、今後米国とともに科学技術分野のさらなる高みを目指していく考えを示した。
終わりに
演説の最後に林部長は、現在国際システムが深い変革を遂げる中、台米両国は実務的な協力を通じて、変化に対応するために力を尽くしたいと述べた。そして、「台米関係をさらに深化させることは地域の安定と世界のサプライチェーンの安全にも寄与し、両国の国民および国際社会に対して前向きな効果をもたらすものだ」と指摘。現実的な課題に直面するのと同時に、台米の協力関係は多くの発展の機会も生み出しており、今後も両国が手を携えて地域の安定と共通の繁栄のために取り組んでいければと期待を寄せた。