2025/10/19

Taiwan Today

外交

国際民間航空機関(ICAO)年次総会が閉会、台湾の参加を支持する声はますます大きく

2025/10/15
ほぼ満席の飛行機に1つの空席―外交部はこのイラストを通して、長年にわたりICAOから台湾が排除されている現状を伝えるとともに、世界の空の安全にリスクと空白を生み出すことの危険性を訴えた。(外交部)
国際民間航空機関(ICAO)の年次総会が今月3日に閉会した。ICAOはカナダのモントリオールに本部を置き、世界190以上の国・地域が加盟する国連の専門組織。国連加盟国ではない中華民国(台湾)は、ICAOからも排除されている。3年ごとに開催される年次総会には、2013年に議長の「ゲスト」として招かれたことがあったが、2016年以降、再び参加を拒否されている。
 
今年も台湾はICAO年次総会への参加を果たすことができなかったものの、台湾のICAO参加を支持する国際社会の声はますます強まっていることが感じられた。とりわけ近年、中国はたびたびICAOの規定を無視し、一方的にM503などの航路の運用を変更または開始したり、台湾周辺の海域・空域で予告なく軍事演習を実施するなど地域の平和と安定、航空の安全に深刻な脅威を与えており、これが各国の強い懸念を招くと同時に、台湾のICAO参加の正当性と必要性を際立たせている現状が浮き彫りになった。2022年に開催された前回の年次総会以来、世界100カ国近く、1万人を超える政府要人、国会議員、各界の関係者らがさまざまな形でICAOを含む国連システムや国際組織への台湾の参加を支持していることについて、外交部は14日に発表したニュースリリースを通じて謝意を伝えた。
 
年次総会での発言等
米国の運輸長官は、3年前の第41回年次総会に続き、今年の第42回年次総会でも台湾のICAO参加を明確に支持する発言を行った。また、ICAO米国政府代表部のアンソニー・クレア代表代理は今回の年次総会で初めて、国連総会第2758号決議(いわゆるアルバニア決議)を歪曲する中国側の主張に反論し、同決議がICAOなど技術あるいは専門組織への台湾の参加を排除するものでもないことを改めて表明した。フランス、ドイツ、ニュージーランドなど、台湾と近い理念を持つ国々の代表も、間接的に台湾を支持する姿勢を示した。
 
また、ICAO加盟国であり中華民国(台湾)と正式な外交関係を持つツバル、マーシャル諸島、パラオ、エスワティニ王国、グアテマラ、セントルシア、セントクリストファー・ネイビス連邦、セントビンセント・グレナディーン、ベリーズ、パラグアイなども年次総会での演説、書面での声明、書簡、SNSへの投稿など様々な方法で台湾を支持する声を上げた。米国と英国の台湾における代表機関に相当する米国在台協会(AIT)や英国在台弁事処もSNSを通じて台湾のICAO参加支持を表明した。
 
年次総会以外での発言等
年次総会以外でも、2025年7月にシドニーで開催された豪英の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の共同声明、9月にニューヨークで開催された日米韓外相会談後の共同声明、スウェーデンのアンドレアス・カールソン・インフラ・住宅大臣、アイルランドのサイモン・ハリス副首相兼外相などが、ICAOを含む国際組織に台湾が参加することを支持する立場を明確に表明した。2024年2月以降、米国務省報道官、日本の上川陽子外相(当時)、フランスのステファン・セジュルネ外相、スウェーデンのトビアス・ビルストロム外相、カナダ交通省、オランダ外務省、英国外務省、欧州対外行動庁(EEAS)、ベリーズ、セントルシア、ツバルなどの政府高官も、中国が台湾と事前に調整することなく一方的にM503航路を変更し、W121、W122、W123航路の運用を開始したことに対して、さまざまな方法で懸念を表明した。
 
各国立法部門の動向
立法部門について見ると、米連邦議会上下両院および30の州議会、さらに英国、カナダ、オランダ、ドイツ、フランス、スウェーデン、ハンガリー、スペイン、イタリア、アイルランド、スイス、イスラエル、メキシコ、アルゼンチン、ウルグアイ、グアテマラ、セントクリストファー・ネイビス、パラグアイなど20か国近くの国会あるいは地方議会が、台湾のICAO参加を支持し、中国によるM503航路等の一方的な変更に反対する決議や書簡、声明などを公表した。
 
台湾からはモントリオールへ代表団派遣
台湾からは、今回の年次総会に合わせ、交通部民用航空局の林俊良副局長が率いる訪問団がモントリオールを訪問し、各国の代表団や民間航空関連の専門機関と27回の二国間会談を実施したほか、初めてカナダ連邦議会内「ナショナル・プレス・シアター」で記者会見を開催した。記者会見の模様はカナダのケーブル・パブリックアフェアーズ・チャンネル (Cable Public Affairs Channel、CPAC) によりインターネットでライブ配信されたほか、テレビでも生中継された。CPACは林副局長のインタビューも放送し、ゴールデンタイムに特集番組を放送するなど、台湾の主張の発信に大きく貢献した。
 
メディアを使ったプロモーション
このほか、台湾の主張を世界各国の世論に訴えるため、外交部の陳世凱部長(運輸相)の寄稿や、台湾が世界各地に設置する在外公館の寄稿、在外公館の大使・代表に対するインタビューなどの掲載、あるいは台湾に友好的な報道については、日本の「産経新聞」、韓国の「Edaily」、タイの「Khaosod」、米国の「The Post Newspaper」、カナダの「The Hill Times」、英国の「City AM」、スペインの「El Telegrama」、イタリアの「La Verità」「Le Formiche」、アルゼンチンの「Clarín」、メキシコの「El Sol de México」、エスワティニ王国の「Eswatini Observer」など38カ国の主流メディアが掲載。報道は合計161本に上った。外交部および在外公館でもFacebook、X(旧Twitter)、インスタグラム、ThreadsなどのSNSを活用し、ICAO年次総会期間中に合計1,143件の投稿を行い、その閲覧数/インプレッションは前回を上回る227万回以上となった。
 

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