民主諸国の議員らが対中国政策で連携を図る「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」の年次総会が7日、ベルギーの首都ブリュッセルにある欧州連合(EU)欧州議会で開かれ、蕭美琴副総統が招きを受けて出席し、「Taiwan: A Trusted Partner in a Volatile World」(台湾:激動する世界における信頼できるパートナー)をテーマに演説を行った。外交部の林佳龍部長(外相)も同行した。台湾の副総統が国交を持たない国を訪問するのは初めてのことであり、台湾の外交にとって歴史的な一歩となった。蕭美琴副総統と林佳龍外交部長が年次総会に出席することは直前まで極秘にされており、IPACは蕭美琴副総統の演説が終わるのを待って、その消息をX(旧Twitter)で明らかにした。
蕭美琴副総統は9日早朝に帰国。桃園国際空港で談話を発表し、国際社会に台湾に対するさらなる理解と支持を求めたことや、台湾との経済・貿易あるいは科学技術分野での協力の深化、台湾の国際参与、ともに台湾海峡の平和と地域の安定を維持し、守ることを各国に訴えたと説明した。蕭美琴副総統の帰国後、外交部が発表したニュースリリースは以下のとおり。
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欧州議会に到着した蕭美琴副総統と林佳龍部長を出迎えたのは、IPACのメンバーである欧州議会のミリアム・レックスマン議員(スロバキア)とベルナール・ゲッタ議員(フランス)だった。IPAC創設者であるルーク・デ・プルフォード氏も、蕭副総統がIPACの招きを受けて訪問したことに対して感謝の意を表した。
蕭副総統は演説の中で、IPAC年次総会は民主主義の理念を深く信じる人々が一堂に会する場であり、たとえ遠く離れていても民主国家は孤独ではないことを象徴していると述べた。さらに、台湾は民主主義の最前線に立つ存在であり、世界最先端の技術や製造、民主主義諸国によるサプライチェーンにとって重要な要衝であり、ひいては国際社会における責任あるパートナーであること、ゆえに台湾は世界の平和・繁栄・民主主義の未来を守る上で欠かせない力であることを強調した。蕭副総統はまた、IPACによる台湾への長年にわたる揺るぎない支持に感謝し、今後、貿易・技術協力の深化、社会全体のレジリエンスと安全保障の強化、そして台湾の国際参与の推進などを通じて、IPACとのパートナーシップを一層深め、より民主的で平和、安定かつ安全な世界の実現に一緒に取り組んでいきたいと述べた。
欧州議会のIPAC共同議長であるミリアム・レックスマン議員は、蕭副総統の演説に先立ち紹介の言葉を述べ、台湾の活力ある民主主義の発展を高く評価した。また、昨年台北で開催されたIPAC年次総会で頼清徳総統及び蕭副総統と会談できたことは光栄であり、今年こうして蕭副総統をブリュッセルで迎え、直接演説を聞く機会を得られたことを嬉しく思うと述べた。演説終了後、蕭副総統は多くのIPACメンバーや旧知の友人らと挨拶を交わした。なお、ベルギーのIPAC共同議長を務めるベルギー下院外交委員会委員長を務めるエルス・ヴァン・フーフ議員は、蕭副総統一行がベルギーの空港に到着した際、空港で一行を出迎えた。
IPACは2020年6月に民主主義諸国の国会議員らによって設立された国際議員連盟で、現在は世界43か国の国会および欧州議会から、290名を超える超党派議員が参加している。IPACは主に、中国が民主主義諸国に与える脅威に着目し、中国の政治的・経済的な浸透や威圧に対抗・防止するための法整備を各国で推進している。IPACは台湾海峡の平和と安定を強く支持し、また、中国による国連総会第2758号決議の曲解に対抗するよう各国に呼びかけている。外交部は、IPACの台湾に対する揺るぎない支持に心から感謝している。