この音楽祭は、外交部と文化部が今年展開する「欧州台湾文化年」の一環として行うもの。台湾を代表する閃霊（ソニック）、血肉果汁機（フレッシュ・ジューサー）、恆月三途（（クレセント・ラメント）の3つのヘビーメタルバンドが、8,000キロメートル離れたフィンランドへ渡る。
外交部の林佳龍部長は、「音楽に国境はない。しかも、フィンランドは台湾と同じく、自由と人権を愛する国だ。外交部と文化部は昨年、仏パリで文化オリンピアードを成功させた。その勢いに乗り、今年は『欧州台湾文化年』と銘打って欧州各地でさまざまな文化イベントを実施している。F:F:Fもその一環として行う今年のビッグイベントだ」と説明した。
林佳龍部長によると、あるとき頼清徳総統との議論の中で、「（欧州の）北はロック、南はクラシック」というアイデアが浮上した。林佳龍部長は部長就任後、国立台湾交響楽団（NTSO）の劉玄詠団長を駐オーストリア代表（大使に相当）に、ヘビーメタルバンド「ソニック」（閃霊）のボーカルを務めていた林昶佐（フレディ・リム）元立法委員（国会議員）を駐フィンランド代表（同）に任命しており、欧州南部はオーストリアを中心にクラシック音楽による文化外交を、欧州北部はフィンランドを中心にヘビーメタルバンドによる音楽交流を展開することになった。
フィンランド商務弁事処のLauri Raunio代表（フィンランド大使に相当）は、フィンランドにいる友人からの情報として、すでにこのイベントのチケットが完売していることを明かした上で、フィンランドは世界で最もヘビーメタルバンドが盛んで、数多くのミュージシャンを輩出してきた国であり、一方の台湾は多様な民族が融合する国だとして、台湾とフィンランドの文化交流によってどのような化学反応が起きるか楽しみだと述べた。また、早くも来年の継続開催に期待を寄せた。
この音楽祭には台湾とフィンランドから各3組のヘビーメタルバンドが出演する。台湾からは閃霊（ソニック）、血肉果汁機（フレッシュ・ジューサー）、恆月三途（クレセント・ラメント）が出演するほか、電子音楽プロデューサーのSonia Calico（ソニア・カリコ）さん、ビジュアル・アーティストの紀昀（Asking Gee）さん、料理研究家の索艾克（Soac)さん、ファッションデザイナーの郭瑋さん、デザイナーの李維錚さん、グラフィティアーティストのBlackZaoさんなど、さまざまな分野のクリエイターも参加する。
その「団長」を務めるのは恆月三途（（クレセント・ラメント）のボーカルで、心理カウンセラーの周慕姿さんだ。周さんは、フィンランドは世界で最も幸せな国と評価され、ヘビーメタル音楽の聖地でもあることに触れ、「寒さに凍える国と、死にそうなくらい暑い国が出会うことで、きっと新たな火花が生まれるはずだ」と期待を寄せた。また、舞台背景のデザインを担当する紀昀さんは、ステージデザインに台湾の廟宇や街並みを取り入れる予定だと明かした。
ソニック（閃霊）のボーカルであり、現在は駐フィンランド代表である林昶佐氏はビデオメッセージ寄せ、フィンランドで出会う人々からしばしば台湾のヘビーメタル音楽と交流できないかと打診されていたことを明かした上で、このような機会を作ってくれた外交部と中華文化総会に感謝すると述べた。また、寒冷な気候のフィンランドに台湾の熱いエネルギーを持ち込めることを楽しみにしていると語った。
なお、このイベントをサポートする文化部は、大阪・関西万博で開催した台湾文化発信イベント「We TAIWAN」のために生まれたキャラクター「a-We」（アウィー）の「ロック版」を用意。「癒し系」のイメージを一新し、黒い衣装をまとい、黄色のエレキギターを背負った「a-We」のピンバッジが公開された。台湾の一行はこのピンバッジを胸につけてフィンランドへ乗り込む。