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現在、国際情勢は極めて不安定な時期を迎え、地政学的状況は一段と複雑になっている。ロシアのウクライナ侵攻直前、ロシアと中国は「制限のないパートナーシップ」を確認し、権威主義国家間の協力関係が明確に示された。しかも、それは中国とロシアだけでなく、北朝鮮にも及んでいる。
一方、リトアニアと台湾はいずれも自由を愛する民主国家だ。侵略の意図をもった権威主義国家を近隣に抱えている点でも共通している。ゆえに、このような局勢に、ともに対抗する必要がある。
中国は一貫して、ロシアの重要なパートナーである。また、経済分野では工業部品を供給することで、ロシアが戦争を継続できるよう、その能力を高めるための後押しをしている。このほか、両国が軍事作戦マニュアルを共有していることも確認されている。それは軍事協力だけでなく、心理戦、さまざまな手法を駆使した影響力の浸透、認知戦、民主制度への干渉などハイブリッドの脅威が存在している。SNSでも大量のフェイクニュースや情報操作が行われているが、いずれも中国・ロシア共通の特徴が見られる。だからこそ民主国家同士が協力し、共通の課題に対応する重要性がより鮮明になっているのだ。
台湾の最大野党・国民党の党主席が「プーチンは独裁者ではないし、ウクライナ侵攻の責任を負う必要もない」と述べたことについて、「もし将来、台湾で政権交代が起きた場合、台湾がロシア寄りに傾くのではないか」との懸念が広がっている。しかし、与党・民進党は、国民党指導者のロシアに関する発言を全く支持しない。大多数の台湾の人々は民主制度に高い信頼を寄せており、自由の価値を守るという強い意志を持っている。台湾の人々は自由を熱愛しているゆえに、ウクライナの人々の苦境に深い同情を寄せている。
台湾の民主主義はまだ歴史が浅い。このため課題も多い。とりわけ大量の偽情報を拡散する中国が隣国であるという地政学的環境下においては。この複雑な時代において、権威主義国家が急進的行動を取り続ける中、もはやこれを静観することはできない。共通の価値と利益を守るため、やらなければならないことがまだたくさんある。
両国はすでに多くの分野で協力を成功させている。例えばリトアニアはレーザー技術に強みを持ち、台湾との共同プロジェクトとして「超高速レーザー研究・開発イノベーションセンター」(台南)を設立している。これは産業に付加価値をもたらすだけでなく、半導体サプライチェーンの重要な部分にも広く貢献している。この優位性を基盤にさらに、両国はさらに協力を発展させることができるだろう。
ドローン分野や国防産業も、台湾とリトアニアにとって重要な協力分野だ。両国はいずれも国防の強靭性を高め、不安定な地域への部品依存を減らす努力を行っている。民主主義国家間には、信頼できるサプライチェーンを構築する必要がある。それには電池、レンズ、ジンバルなどから、広くはドローン・ロボット・無人システム関連の部品も含まれる。リトアニアとの協力を期待している。
リトアニアは台湾にとって堅実な盟友であり、パートナーであり、共通の理念と価値を共有している。また、リトアニアはヨーロッパで唯一、「台湾」の名前を冠した代表機関(在外公館に相当)を設立した国だ。権威主義国から受ける様々な圧力に対して、果敢に立ち向かっており、その姿勢は台湾が推進する「価値外交」におけるリトアニアの重要性を示している。