2025/12/08

Taiwan Today

外交

外交部の協力で国家安全会議諮詢委員の李育杰氏らが豪「シドニー・ダイアログ」出席

2025/12/08
国家安全会議の李育杰諮詢委員(諮問委員、右)が4日と5日、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)主催の「The Sydney Dialogue」(シドニー・ダイアログ)に出席した。写真は「テクノロジーと混合型脅威」に関するセッションの様子。(外交部)
国家安全会議の李育杰諮詢委員(諮問委員)が4日と5日、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)主催の「The Sydney Dialogue」(シドニー・ダイアログ)に出席した。李諮詢委員は昨年9月に開催された「シドニー・ダイアログ」にも招きを受けて出席している。今年は国家科学及技術委員会に所属するシンクタンク「科学、民主及社会研究中心」にもスピーカー派遣の依頼があり、同中心民主治理(民主的統治)組の頼又豪副組長が出席した。
 
「シドニー・ダイアログ」はオーストラリアで開催される情報セキュリティ及び新興テクノロジーに関する年に一度の大型イベントで、オーストラリアのほか、米国、英国、韓国、インドネシア、インド、リトアニア、日本、ニュージーランド、フィジー、パプアニューギニア、エストニア、ラトビア、ウクライナ、NATO、欧州連合(EU)、それに台湾など複数の国及び組織から産官学関係者が参加し、人工知能(AI)競争とガバナンス、サプライチェーンの安全と国家のレジリエンス、現代の混合型脅威、量子技術と次世代技術に関する戦略、インド太平洋地域のデジタル化と地政学などについて議論が交わされた。
 
李諮詢委員は、「テクノロジーと混合型脅威」に関するセッションでパネリストを務め、現在、民主主義国家が直面しているのは、一定の規模を持ち、組織的な、そして急速に進化する混合型脅威であり、台湾はその最前線に立たされていると訴えた。具体例として、中国が台湾の映像制作者に資金提供を行うことで、中国に有利になるような、偏った情報を宣伝させたり、オンラインショッピングサイトを利用して台湾人の個人情報を収集していいることなどを挙げた。中国はまた、台湾を情報収集や破壊工作の実験場と見なしており、非対称的かつ低コストな偽情報の散布、個人情報の収集などといった手段を用いて、台湾に対する認知戦争を展開していることも説明した。そして、「これらの行為は台湾社会を分断させ、相互信頼を弱体化させることを目的としている。中国はさらに、台湾での経験を、その他の民主国家の内部運営の妨害にも活用しようとしている」と警鐘を鳴らすとともに、民主主義のパートナーが一丸となって知恵を絞り、こうした「混合型脅威」に立ち会うべきだと主張した。
 
頼副組長は「人工知能(AI)強国と大規模競争」のセッションに参加し、国際社会は大国間の人工知能(AI)分野の政策や競争を観察する際、「アメリカのAI発展は市場主導、中国のAI発展は政府主導」という単純な二元論的な見方を避けるべきだと指摘した。その理由として頼副組長は、所属する「科学、民主及社会研究中心」の研究報告を例に挙げ、中国は国家主導の体制にもかかわらず、半導体チップの過剰生産などの問題が依然として存在していることから、中央政府と地方自治体との政策調整が不十分であることが分かると説明。国際社会は中国の「政府主導」モデルをより明確に理解し、このモデルの下では政府がAIシステムや情報環境に対してより強いコントロールを行使できること、例えば情報収集や監視、情報流通のコントロールが行われることに警戒すべきだと訴えた。
 
賴副組長はさらに、AIの発展の核心となるのは計算能力と半導体チップであり、台湾はこれからのAI競争においてより重要な役割を果たすだろうと述べた。同時に、透明で開かれた情報環境と民主的な参与のプロセスこそが、新興技術の発展において強固な社会的信頼を築く基盤になると強調した。
 
李諮詢委員はこの「シドニー・ダイアログ」への参加を通して、近い理念を持つ国々の関係者とさまざまな交流を行った。なお今年はほかにも、徐佑典駐オーストラリア代表、外交部資訊及電務処の張嘉政処長、数位発展部資通安全署の鄭瑋副署長、法務部調査局資通安全処の鄭健行副処長、国家資通安全研究院の林盈達院長、財団法人国際合作発展基金会(TaiwanICDF)の謝佩芬副秘書長、財団法人電信技術中心の鄧惟中執行長などが「シドニー・ダイアログ」に参加した。
 

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