第93回「国際刑事警察機構」(インターポール)の年次総会が11月24日から27日までモロッコのマラケシュで開催された。中華民国(台湾)はインターポールに加盟しておらず、オブザーバーの身分での年次総会への参加も見送られた。今年の年次総会の終了を受けて、中華民国(台湾)外交部は以下の声明を発表した。
厳正な抗議と不満
第93回「国際刑事警察機構」(インターポール)年次総会は、「団結する世界の警察、より安全な未来をともにつくる」(Uniting Global Policing for a Safer World)というテーマを掲げての開催となった。しかし皮肉なことに、それは政治的配慮から台湾に住む2,300万人を排除しての年次総会となっただけでなく、「台湾は中国の一部である」という虚偽の主張まで行った。これは、「政治的、軍事的、宗教的又は人種的性格を持ついかなる干渉又は活動もしてはならない」とするインターポール憲章第3条に違反するだけでなく、世界の警察機関の協力によって犯罪を取り締まるというインターポール本来の趣旨にも大きく反するものだ。外交部はこれを強く非難し、厳正な抗議と不満を表明する。
国交樹立国の動き
インターポール総裁のアラブ首長国連邦(UAE)内務省のアフメド・ナセル・アル・ライシ元監察長官は今回の年次総会で、中華民国(台湾)と外交関係を持つ国々の代表が台湾のために発言することを強引に妨害した。しかし、外交部が事前に行った綿密なシミュレーションと、国交樹立国の政府および代表団の年次総会期間中の積極的な協調により、マーシャル諸島、ベリーズ、セントクリストファー・ネービス連邦、グアテマラ、セントルシア、セントビンセント及びグレナディーン諸島、パラグアイ、エスワティニ王国の計8か国が、インターポール総裁及び事務総長宛てに書簡を送ったり、年次総会での発言、SNSを使った動画メッセージなど、さまざまな形で台湾への支持を示した。これらは国際社会と各国の代表らが、台湾がインタポールに加盟することの必要性を理解するのを助けた。
インターポール事務局が「台湾は中国の一部」と表明
インターポール事務局は中国の誤った主張に追随し、「1984年にインターポールの年次総会が中華人民共和国の加盟を承認したことは、台湾が中国の一部であるとの主張を受け入れたのと同じである」と表明した。これを受けて外交部は直ちに、今年の年次総会に参加していたマーシャル諸島の法務・入国管理・労働省のワイズリー・ザクラス大臣やベリーズのBartholomew Jones警察副総監などに、インターポールのヴァルデシー・ウルキザ事務総長宛てに抗議の書簡を送ってもらったほか、事務局の担当者にも直接台湾の立場を説明した。
台湾と中国人民共和国は隷属関係にない
外交部は改めて強調する。第二次世界大戦終結後、国際法上の効力を有する「サンフランシスコ講和条約」は、「カイロ宣言」や「ポツダム宣言」といった政治的声明に取って代わられた。しかし同条約は、台湾を中華人民共和国に譲渡しておらず、中華人民共和国はこれまで一度も台湾を統治したことがない。ゆえに台湾は決して中華人民共和国の一部ではない。中華民国(台湾)は主権を有する独立国家であり、中華人民共和国とは互いに隷属関係にない。これは台湾海峡の客観的現状であり、国際社会が公認する事実でもある。
中国に干渉する権利なし
なお、台湾は1980年代半ばからボトムアップ方式で政治の自由化と民主化が進み、1996年には初の総統直接選挙が実施された。その結果、行政部門と立法部門はいずれも、台湾の人々が民主的な手続きによって選んだ中華民国政府によって運営され、同政府が台湾を実効的に統治し、対外的にも台湾を代表する唯一の合法政府となってきた。したがって、国際社会や多国間組織や枠組みにおいて、台湾に住む2,300万人を代表できるのは台湾で民主的に選ばれた政府のみであり、中国がそれに対して口を挟んだり干渉したりする権利はない。
国際社会も台湾の国際参加を支持
実際、外交部の長年の努力の結果、インターポールを含む国際組織に台湾が有意義な参加を果たすことを支持する声は国際社会でますます高まっている。英国、アイルランド、スウェーデン、欧州連合(EU)対外行動庁(EEAS)などの政府関係者は台湾のインターポール加盟を公に支持しており、G7外相及びEU外務・安全保障政策上級代表による共同声明、日米韓外相会談、さらに豪英閣僚級協議の共同声明などでも、台湾の国際参加への強い支持が重ねて表明されている。
各国の立法府の反応
米連邦議会下院のランス・グッデン議員(共和党・テキサス州)など超党派議員5名は「台湾のインターポール加盟を支持する法案」(Taiwan Interpol Endorsement and Inclusion Act)を提出し、国務長官に対して台湾のインターポール加盟を促進する戦略を策定し、議会に報告するよう求めた。また、米国30州以上の州議会が台湾を支持する決議を採択。英国、アイルランド、イタリア、スウェーデン、チェコ、ブラジル、韓国、イスラエル等の議会や、スペイン・デンマーク・メキシコの親台湾派議員連盟「フォルモサクラブ」、オランダの「対中政策に関する国際議員連盟(IPAC)」共同代表のヤン・パテルノッテ議員も決議の採択や書簡の送付などで台湾のインターポール加盟への支持を表明した。
国際広報
内政部警政署刑事警察局の周幼偉局長による「リアルタイムな情報共有で越境犯罪の合同取り締まりを」のタイトルの投書、在外公館による投書や代表(大使に相当)へのインタビューが、米国、EU、韓国、イスラエル、イタリア、スペイン、ハイチ、アルゼンチン、ペルー、日本、ポーランド、ラトビアなど多くの主要メディアに掲載され、合計270件に達した。また警政署刑事警察局が制作した「台湾が加われば、世界はもっと安全に」(Taiwan Joining, Safer World)と題する一連のプロモーション動画は、外交部と在外公館のSNS(フェイスブック、X、インスタグラム、Threadsなど)で84.1万回以上再生された。
外交部の訴え
インターポールは台湾を加えてこそ、世界の治安を適切に守り、越境犯罪と効果的に戦うことができる。インターポールは専門・中立の立場に立ち、不当な政治干渉を排除すべきだ。台湾が速やかに関連の会議・メカニズム・活動に全面参加し、すべての加盟国とともにより安全な未来を築くことができるようにすべきである。