最先端チップの製造技術は台湾に残す
中国による軍事的圧力が強まり、グローバル・サプライチェーンは分断のリスクに直面している。そうした中で台湾は、「最先端」チップの製造技術を国内に残し、グローバル・サプライチェーンの中で「不可欠」で核心的役割を果たし続けている。我々はこれからも、最先端の技術が台湾に根を下ろし、半導体産業のエコシステムにおいて台湾が重要な役割を果たし続けられる最大限の努力をしたい。
半導体の生産拠点を海外へ移すことはリスク分散になるか?
半導体の生産拠点を海外へ移すことで、台湾のリスクを分散すべきだという意見もある。台湾はいままさにグローバル展開を段階的に拡大しており、例えばTSMC(台湾積体電路製造)は米国、日本、ドイツなどに工場を建設している。しかし、これらの海外投資は依然として台湾と密接に繋がっている。つまり、単に生産拠点を海外へ移すことはリスク回避に繋がらない。我々は本当の解決策は、戦争そのものの発生を防ぐことだと考えている。
台湾の半導体のエコシステムを海外で再現するのは困難
アメリカのトランプ政権は製造業の国内回帰を目指している。しかし、台湾の半導体産業のエコシステムを、他の国で完全に再現するのは非常に難しいことだ。それは、台湾が非常に特殊な「半導体製造文化」を持つからだ。TSMCはこれからもアメリカへの投資を強化するだろうが、最先端の製造技術と研究・開発の中核については、これからも台湾に残るだろう。
もし中国が台湾に対して攻撃を仕掛けたら?
アメリカやヨーロッパは自国の国益に基づいて動くことになると信じている。そして、アメリカと台湾の国益は、半導体産業、台湾海峡の平和と航行の自由など多くの点で一致している。台湾は、中国が一方的に主張する「核心的利益」であると同時に、アメリカにとっても「核心的利益」でもあるのだ。