台湾はアジア太平洋経済協力会議(APEC)を重視する姿勢を示すとともに、APEC加盟国の能力構築(アビリティ・ビルディング)支援を継続するため、今年(2025年)、APECに65万米ドルを拠出することを決定した。台湾のAPEC高級実務者である外交部国際組織司の孫儉元司長(局長レベル)は11日、中国・深圳で開催されたAPEC非公式高級実務者会合(ISOM)に出席した際、中華民国(台湾)政府を代表してエドゥアルド・ペドロサAPEC事務局長と拠出に関する覚書(MOU)に署名した。
台湾は1991年にAPECに加盟した。孫儉元司長は、台湾がAPECの建設的なメンバーとして、1991年以降、拠出金の提供やさまざまなイベントの実施を通じてAPECに具体的な貢献を続けてきたことを強調。今後も「平等」を原則として、その他のAPEC加盟国と協力し、APEC地域の繁栄と発展を共に推進していくことを約束した。
これに対してペドロサAPEC事務局長は、台湾の拠出や積極的な参加は、APEC事務局による関連業務の円滑な推進に寄与するだけでなく、その他の加盟国の能力構築にとっても極めて重要であり、APEC地域のすべての人々に恩恵をもたらすものであると述べた。
今年の拠出金は、台湾が20年前に提唱して設立した「人間の安全保障サブファンド」(Human Security Sub-Fund)および10年前に米国およびオーストラリアと協力して設立した「女性と経済サブファンド」(Women and the Economy Sub-Fund)に充てられるほか、APECの政策研究と分析を担うシンクタンク「ポリシーサポートユニット」(PSU)を支援し、APECの政策研究・分析能力の強化にも活用される。(※サブファンドとはAPECの予算費目の一つ。各エコノミーの提唱により設置される)
APECは台湾が参加する最も重要な政府間国際組織の一つであり、台湾からも毎年各省庁から40名を超える職員が各種会合に出席するとともに、台湾でも年間30回以上のAPEC関連会議や活動を主催している。このほか、「APECビジネス諮問委員会」(ABAC/ APEC加盟国のビジネス関係者で構成されるAPEC唯一の公式諮問機関)の台湾代表3名のも、各種計画やイニシアティブを積極的に提案するなど、その取り組みが高く評価されている。台湾の政府は、APECを通じて他の加盟国との交流及び対話を一層強化し、官民一丸となりAPECにおける台湾のプレゼンスと影響力の向上を図っていく方針だ。
なお、2026年のAPEC議長国は中国で、その首脳会議は2026年11月18日と19の両日、中国南部・広東省深圳で開催されることが発表されている。