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ロシアによるウクライナ侵攻や中国による軍事力の近代化はいずれも、権威主義国家が既存の国際秩序の変更を試みていることを意味している。また、中国の台湾に対する軍事的威嚇やグレーゾーン行為による威圧は、すでにこの地域の安全保障に対する実質的脅威となっている。
これに対して台湾は、「Not Today Policy」という抑止戦略を採用している。台湾の防衛費を増額したり、国際社会の台湾への支持を取り付けることで、中国の指導部に対して「台湾侵攻は高い代償を伴う」ということを明確に認識させるものだ。それに加えて米国、ドイツ、フランスなど、台湾と近い理念を持つ国々が次々と軍艦を台湾海峡に派遣し、これを通過させていることなどは、これらの国々の台湾海峡の平和と安定への支持を具体的に示し、同海峡が国際水域であることを十分に証明している。
台湾海峡の平和と安定を確保するためには、防衛力と防衛レジリエンスの強化に加え、台湾を「内政問題」とする中国が誤った論述を外交的に打破し、台湾が各国と対等に交流している事実を国際社会に明確に伝える必要がある。
台湾は国連加盟国ではなく、外交的な承認にも制約がある。しかし、成熟した民主主義的ガバナンス、安定した経済、堅固な国防を備えており、世界各地に設置する在外公館による実務的な活動や、半導体および人工知能(AI)分野における重要な地位を通じて、各国とウィン・ウィンを基盤とした協力を拡大している。
台湾海峡の安全保障は地域の問題にとどまらず、世界の民主主義体制、航行の自由、サプライチェーン(供給網)の安定にも関わる。台湾は今後も、米国、日本、欧州などの民主国家との二国間あるいは多国間協力を深化させるとともに、近い理念を持つパートナーと連携することで、「非レッド・サプライチェーン」(中国の要素を排除したサプライチェーン)の構築を進め、民主主義国家の経済安全保障と技術的自立を確保していく方針だ。
【台湾と中東欧諸国との関係について】
台湾にとってポーランドとチェコは「戦略的パートナー」だ。権威主義の脅威への直面という意味で、台湾の立場と高く一致しているからだ。台湾は中東欧諸国との実務的な協力を深化させることで、外交空間を拡大するだけでなく、ウクライナへの人道支援を行うなど、民主主義陣営が一致団結して権威主義の拡張に対抗するという決意を示している。
ロシアとウクライナの戦争から、台湾は社会のレジリエンスと非対称戦力の強化が不可欠であることを改めて悟った。台湾はウクライナの経験を参考に、無人機など重要な能力を高めるとともに、半導体製造の優位性を活かし、信頼できる抑止力の構築を進めている。台湾製の部品がロシアの軍事システムに流入しているとの懸念が指摘されているが、台湾はロシアに対し、欧米と一致した制裁を行い、且つ厳格な法規制を実施している。これからもウクライナとの情報共有のメカニズムを通じて、規制の抜け穴を防いでいきたい。
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このインタビューは中華民国(台湾)外交部と台湾の国営放送局である中央広播電台(日本での名称は台湾国際放送、RTI)が共同実施した「ウクライナ記者支援計画」の一環として行われた。ポーランドの国営放送局「Polskie Radio」で働くウクライナ人記者を台湾に招聘し、滞在期間中の取材や特集番組の制作に協力した。欧州社会が、ウクライナを支持する台湾の立場についてより理解を深められるようにするのが狙い。