外交部の林佳龍部長(外相)はこのほど、米ニュース専門放送局FOXニュースのデジタル版『FOXニュースデジタル』の独占取材を受け、その内容が「Taiwan 'will not escalate, but will not yield' to Chinese intimidation, foreign minister warns」(台湾は緊張をエスカレートさせないが、中国の威圧に屈することもない)の見出しで公開された。報道の内容は中国の軍事拡張がインド太平洋地域に与える影響、台湾海峡の戦略的地位、ならびに台米の安全保障及び経済分野での協力などに及んだ。林部長の発言の概要は以下のとおり。
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中国の権威主義による拡張行動は台湾の民主主義と安全を直接脅かしているだけでなく、インド太平洋地域および世界の平和と安定にも深刻な懸念をもたらしている。昨年(2025年)6月、中国の空母「遼寧」と「山東」の2隻が同時に第2列島線を越えて西太平洋で活動しているのが確認された。これは中国の軍事拡張が台湾のみに向けられたものではなく、地域全体の安全構造に対してますます深刻な影響を及ぼしていることを示すものだ。
中国はまた、台湾海峡両岸の現状を意図的に破壊し、平和を愛する国々を威嚇する「トラブルメーカー」になっている。それに対して台湾は、緊張をエスカレートさせることもなければ、中国に屈することもない。台湾海峡の平和と安定は世界の繁栄を左右する。なぜなら世界の先端半導体の約9割が台湾で製造され、世界の貨物輸送の約5割が台湾海峡を通過しているからだ。ゆえに国際社会が台湾海峡の安全に関心を寄せることは実質的な戦略的意義を持つ。
台米関係について言えば、トランプ大統領の第2期政権は2025年1月に開始したが、その政策には第1期政権時代と明確な戦略的継続性が見られる。台湾はこれからも「価値外交」、「同盟外交」、「経済外交」を通じて米国との協調及び協力を追求していくだろう。また、トランプ政権および米国議会はインド太平洋地域の平和と安全の維持に揺るぎないコミットメントを示し続けている。最近公表された国家安全保障戦略(NSS)でも、台湾が北東アジアと東南アジアという「2つの重要な戦域」を結ぶ極めて重要な地位を占めることが強調された。
また、トランプ政権が打ち出した「AIアクションプラン」は、AIの発展に必要な「イノベーション、インフラ建設、国際協力」を三大要素として強調しているが、台湾はいままさに人工知能(AI)、科学技術、サプライチェーンなどの分野で米国との連携を一層深化させている。一方、台湾は近年、対米投資を拡大している。これはグローバル・サプライチェーンの再構築や技術競争が進む中で、台湾企業が対米投資に大きな潜在力を見出していることを示している。
安全保障方面での協力について言えば、台湾は米国による軍事支援に感謝している。米国は昨年12月、台湾に対する110億米ドルにのぼる武器売却を発表した。また、米国議会が「台湾保証実行法」を可決、さらに2026会計年度(2025年10月~2026年9月)の国防予算の大枠を決める「国防権限法」(NDAA 2026)に台湾の安全保障支持につながる複数の条項を盛り込んだことは、台湾の安全保障に対する米国議会の党派を超えたコミットメントを示すものだ。また、台湾自身も防衛費の増強を急いでいる。頼清徳総統は昨年、台湾の防衛費の対GDP比について、2026年にまず3%に引き上げ、さらに2030年までに5%へと引き上げる方針を発表した。現在、一部の防衛費に関しては立法院(国会)での予算審議が難航している。しかし、台湾の主要政党はいずれも、安全保障分野での台湾と米国の協力深化と抑止力強化については支持することを表明している。
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「FOXニュース」は1996年創設の米国で強い影響力を持つニュース専門放送局だ。そのデジタルプラットフォームである「FOXニュースデジタル」も国内外から高い関心を集めている。今回のインタビューは、米国の政策決定者や世論に対して、現状維持を堅持し、抑止力を強化し、台米協力を深化させるという台湾の明確な立場を伝えるうえで意義あるものとなった。