頼清徳総統は今月22日からアフリカ南部の国交樹立国、エスワティニ王国を訪問する予定だった。しかし、総統専用機が通過するセーシェル共和国、モーリシャス共和国、マダガスカル共和国の3か国が中国の圧力を受け、上空の飛行許可を突然撤回したことから、総統府は21日になって急遽、頼総統のエスワティニ王国訪問を見合わせることを発表した。こうしたことを念頭に、欧州連合(EU)の報道官は21日、メディアの取材に対し、「シカゴ条約」(国際民間航空条約)の枠組みの下で、国際民間航空が安全かつ秩序があり、予測可能な方式で運航されることをEUは非常に重視していると述べた。さらに、領空通過権は国際民間航空の基礎であり、領空管理の予測可能性と中立性は、航空の安全、経済・貿易の往来、外交関係にとって極めて重要であると強調した。また、各国は自国の領空に対する主権を有するものの、関連する決定は透明性と予測可能性に基づくべきであり、航空の安全および運航の安定を最優先に考慮しなければならず、この種の決定が政治的目的を達成する手段として用いられるべきではないとも指摘した。
このほか、民主諸国の議員らが対中国政策で連携を図る「対中政策に関する列国議会連盟」(Inter-Parliamentary Alliance on China, IPAC)は21日に声明を発表し、中国が複数のアフリカ諸国に対して組織的な圧力を加え、台湾の頼清徳総統を乗せた専用機が領空を通過するのを阻止しようとしているが、この行為は北京当局があらゆる手段を用いて台湾を孤立させ、その政治的影響力を他国の領空権にまで拡大しようとしていることを示すものだとした。
声明ではまた、頼総統は民主的な選挙で選ばれた指導者として、他国の元首と同様に、威圧や干渉を受けることなく諸国と自由に往来すべきであると強調。さらに、各国は自らの外交方針を自主的に決定する権利を有しており、北京当局にはこれに口出しする権限はないとした。
中華民国(台湾)外交部は、EUやIPACを含む近い理念を持つパートナーが具体的行動によって台湾を支持していることを歓迎するとともに、「心より感謝する」と表明している。外交部はまた、中国は政治的手段によって国際民間航空の運航や各国の正当な外交関係に干渉しているとして、民主主義国家は一丸となってこれを非難すべきだと訴えている。